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               国際短編映画祭につながる「ショートフィルムの原案」公募・創作プロジェクト 奇想天外短編映画 BOOK SHORTS

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Category 小説

小説

『夢で会えたら』京(『夢買い長者』)

     その夢は、なんとも心地の悪いものであった。  仄暗い水のなか、鼻から口から泡ぶくがボコボコと溢れ出す。それらが顔にまとわりついて、爆ぜながら耳の方へと流れていくに、たぶん下を向いて落ちていっているのであろう。そ […]

2024/03/11
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小説

『たからもの』深山喩生(『姨捨山』)

     よく晴れた春の夜、老婆を背負って山を登る男がいた。六十を過ぎた老人は山へ捨てよという掟のためである。背負った母は葉の消えた冬の枝のように軽い。寒そうに丸まった足の指、痩せて皺の寄った手が目に入る度、土に膝をつい […]

2024/01/11
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小説

『呪いの解き方』はそやm(はそやん)(『たにし長者』)

    アパート横に流れる小川で親子がメダカを探していたのが、ことの始まりだった。心地良い天気に誘われて散歩に出たのだが目的もなかったため、ぼぅっとその様子を見ていると「要りますか?」と声をかけられた。 素直に数匹のメダ […]

2024/01/11
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小説

『誰なんだよ』芬蘭蓮(すおみるんめ)(『大脳手術』(海野十三))

     違和感はすぐに消えると執刀医は僕に言った。その通りだった。新しい脚は股関節にしっかりくっついて、感覚もあるし、歩けるし座れる。免疫抑制剤のおかげで一生涯拒絶反応も起きないそうだ。ただ、やはり、安物の足は見た目も […]

2024/01/11
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小説

『きみょうなしごと』くろいわゆうり(『「判決」「流刑地にて」「城」』)

    (1)  モロがこのスーパーを訪れたのは7年ぶりだった。隣接していたTSUTAYAがなくなって店舗がいっきに拡張していた。3000台近く収容の駐車場。10万㎡の広大な店舗エリア。ゴシック建築を応用した西洋的な趣の […]

2024/01/11
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小説

『傴僂の隠亡』和織(『書けない探偵小説』)

     今日も雪が降り積もっていた。この時期は、仕事が減る。だから山の下は、その分だけ平和かもしれない。そんなことを考えながらリビングへ下りていくと、テーブルに手紙が置いてあった。 コウジさんへ   […]

2024/01/11
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小説

『昼下がりのシンデレラ』蔵原先(『シンデレラ』)

     夜の十時、田村時子は娘二人を寝かしつけると、冷蔵庫からビール二缶、そして煙草一箱を抱えて家を出た。扉の鍵を閉め、家の真ん前に停めてある中古の軽に乗り込んだ。  一日の家事と育児の後、ここで一服するのが時子の唯一 […]

2024/01/11
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小説

『フェイク』ウダ・タマキ(『鳥と獣とコウモリ』)

    「お前、ほんと空気読めないよな」  吐き捨てられた言葉に、いかなる感情も込み上げてこなかった。そんなこと言われなくても知っているから。俺との付き合いは、誰よりも俺が長い。嫌ってほど、全てを知り尽くしている。  金 […]

2024/01/11
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小説

『決まった人』宮沢早紀(わらべうた『はないちもんめ』)

     勝ってうれしい はないちもんめ  負けてくやしい はないちもんめ  となりのおばさん ちょっと来ておくれ  鬼がいるから行かれない  お釜かぶって ちょっと来ておくれ  お釜底抜け行かれない  お布団かぶって  […]

2024/01/11
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小説

『愚者の衣裳』益久渡来多(『裸の王様、鰻の嗅ぎ賃』)

    昔、あるところにチサーナ王国というちっぽけな国の王様がいました。 王様はその昔、冒険者として名を馳せた庶民上がりの人でしたので、日夜必死に働く民衆の苦労をよくわかっている立派な王でした。 民衆たちも王様の人柄を愛 […]

2024/01/11
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小説

『おごれる人』川瀬えいみ(『平家物語』)

    『祇園精舍の鐘の声、諸行無常の響きあり。  娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす』  今、化粧室に立つわけにはいかない。  そう思うのと、平家物語の冒頭文を思い出すのが同時だった。 『驕れる人も久しからず、た […]

2024/01/11
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小説

『誰が為にベルは鳴る』太田純平(『頭ならびに腹』)

     真冬の北関東を列車が走っていた。二両編成の急行電車。窓の外は山野が冬化粧をしている。乗客は一両目に三人。一人は若いビジネスマン風の男である。中央のロングシートの片隅に座り、黒いコートのポケットに手を突っ込み虚空 […]

2024/01/11
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小説

『幽霊と事情』真銅ひろし(『座敷童』)

     「事故物件ね~。」  友人から提案されたユアチューブの企画。よくありそうだけれどやっぱりこういうのがいいのかなぁ、とも思える企画だった。 「家賃も月一万で良いって言ってくれてるし、やってみても良いんじゃない?」 […]

2024/01/11
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小説

『天才小人は臆病です』志岐ハルナ(『小人の靴屋』)

    篠原の朝は地味になることから始まる。髪の毛は、ストレートにして、後ろで一つ結びにする。アイメイクは無難なベージュ、暗めの赤のリップをして、黒縁眼鏡をかける。じっと鏡を見て頷く。今日も完璧だ。完璧なほどに地味だ。い […]

2024/01/11
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小説

『ザラハイ』佐藤邦彦(『銀河鉄道の夜』)

     階段を上へ上へと寡黙に進む者。  階段を下へ下へと寡黙に進む者。  永遠に束の間の遭逢を繰り返す。  上ること。  下ること。  違いのない世界。  壁に掛けられた不思議な絵をしばらく眺めていたが、店主が私に気 […]

2024/01/11
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小説

『MOment MOnument』三倉くら(『桃太郎』)

     友達同士の「誰好き?」ってやりとりが苦手。  あれで自分の好きな子を言うことができない。  なぜって、その子の名前自体が、私には神聖なものに感じるから。ハリポタでラスボスのこと、「名前を言っちゃいけない、あの人 […]

2024/01/11
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小説

『無礼男』柴野裕治(『ブレーメンの音楽隊』グリム童話)

     「社会参加を回避し、6か月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状態を示す現象概念」  僕はひきこもりだ。  それも、彼是15年以上はコンビニの往復と掛かり付けの歯医者、年に一度の散髪、あとはたまに夜の公園 […]

2024/01/11
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小説

『天神山にて』柿ノ木コジロー(『通りゃんせ』(わらべうた:作者不詳))

    「えっ、日帰りで山? まあいいケド、予定ないし」  紗江の第一声だった。遥はこっそりと大きく息を吐く。 「それにしても、近場だねー」  いつものように紗江が鼻を鳴らした。  会社の同僚である紗江を、近所の天神山登 […]

2024/01/11
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小説

『オトヒメ・ノングラータ』蔵原先(『浦島太郎』)

     内容証明が送られてきた。  送り主は夏目雄一。どうやら私を訴えるらしい。被害者を募って、彼が代表者となっている。  私は五年前まで、歯科受付をしながらひっそり生活していた。  通勤時、毎朝ホームで見かけるあの人 […]

2024/01/11
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小説

『ダンディな釣り人』春名功武(新潟県上越市大潟地区の雁子浜に伝わる『人魚塚伝説』)

     意外過ぎる先客に、中川は2度見どころか、3度見4度見した。中川でなくても彼の装いを見れば、皆似たようなリアクションになるだろう。  彼を一言で表すと、ダンディ。真っ白なオーダーメイドのスーツを着込み、上等そうな […]

2024/01/11
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小説

『誰も知らない』萬造寺竜希(『メリイクリスマス』)

     総武線高尾行きの電車が、高円寺に停車する。電車を降りて、ホームの真ん中から眼下に広がる街をしばらく眺める。あの時と何も変わっていない。歩く人達が駅に向かうわけでもなく、駅周辺を何度も行ったり来たりしている。見え […]

2024/01/11
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小説

『恩返し』NOBUOTTO(『花咲じじい』)

     チャリンという鈴の音とともに武志がペットショップ「犬のお家」に駆け込んできました。  ショップの中にいた女の子が「キャッ」と叫びました。 「あっ、すみません」  武志が恥ずかしそうに俯いていると、亜希子が駆け寄 […]

2024/01/11
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小説

『家霊 ~玲子の場合~』朝海珠瑚(『家霊』岡本かの子)

    「信じらんない、また浮気されたっ! これでもう何人目⁉」  ガンッとビール缶を机に叩きつけ、玲子は元彼たちへの恨みを叫びに込めた。  時刻は夜九時半を過ぎたところ。遠慮もなく叫んでいれば隣近所の迷惑になる時間であ […]

2024/01/11
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小説

『粗忽AIロボ』永佑輔(『粗忽長屋』)

    「くーまーがーいー! 熊谷! おい、熊谷!」  怒鳴り声と玄関を叩く音がいよいよ無視できないほどになったので、熊谷は鬱陶しそうに玄関を開けた。  親友で隣人の八田が血相を変えて立っている。 「熊谷が死んでたぞ!」 […]

2024/01/11
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小説

『愛されたい』このさえ(『かぐや姫』)

     姫花の橙色の口紅を見て、もう秋か、と実感する。姫花は私の顔の前で手を広げ、 「なんの数字かわかる?」と指の隙間から可愛い笑顔を覗かせる。 「うーん。ニキビの数?」 「違う。旦那候補よ」
 「また、マッチングアプ […]

2024/01/11
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小説

『世界一有名な遠距離恋愛』香月彩里(『七夕物語〜織姫と彦星〜』)

    「織姫と別れたいと思ってる」 彦星の言葉に、カササギは、ついにこの日が来てしまったと思った。 織姫と彦星が、天の川を挟んで離れ離れになった時、 年に一度、私が織姫を背中に乗せて、彦星の元へお連れします。 そう言い […]

2023/12/14
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小説

『鬼の勇気』比良慎一(『桃太郎』)

     日本列島は記録的な猛暑に見舞われていた。ニュースは連日、熱中症関連の話題をメインに取り上げ、注意喚起を促している。そして今日も相変わらず猛暑日らしかった。  悪意に満ちた太陽光を遮るのは、ドーム型の屋根だった。 […]

2023/12/14
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小説

『みみみみみ』香久山ゆみ(『耳なし芳一』)

     ピピピピピピピ……。  6時。スマホの目覚ましアラームを止めようと、布団の中から左手をパタパタ動かすもスマホが見つからない。仕方がないのでガバッと起きると、左側で鳴っていたはずのスマホは、右耳のすぐ傍にあった。 […]

2023/12/14
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小説

『てぶくろを買いに』ウダ・タマキ(『手袋を買いに』)

    「ねぇ、てぶくろ買いにつれてって」  最近の優人は、保育園の友達から影響を受け、何かをねだることが多くなった。五歳になり社会性が芽生え始めたのは親にとって嬉しいことだが、キャラクターの服、ぬいぐるみ、おもちゃなど […]

2023/12/14
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小説

『笑顔のセンス』永佑輔(『大鏡 競べ弓』『平家物語 扇の的』)

    「ただいま」  藤原はリビングの壁に飾られた扇子に向かって笑顔を浮かべた。本人はキラキラ笑顔のつもりらしいが、どう見ても片方の口角だけが上がった引きつり笑顔。  扇子には十代後半と思しき笑顔の女性アイドルがプリン […]

2023/12/14
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