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               国際短編映画祭につながる「ショートフィルムの原案」公募・創作プロジェクト 奇想天外短編映画 BOOK SHORTS

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Category 小説

小説

『私と、あたしの手袋』ウダ・タマキ(『手ぶくろ』)

 やってしまった。これ、マジでやばいやつだ-  大切な手袋の片方を無くした。左手だけしか手袋をはめていないのに気付いたのは、玄関でブーツを脱いでいる時だった。 「あれっ!」  慌てて見回した玄関には、脱ぎ散らかされた不揃 […]

2023/01/16
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小説

『春燈夜話』九重佑絃(『幽霊飴・子育て幽霊』(京都府))

 毎夜ごと、玄関の扉が叩かれるようになって久しい。 それは私が全てにおいての気力を失い、日がなただ床に横たわっているだけの日々を過ごすようになって、少しした頃からだった。ほとほと、ほとほとと力なく、ともすればその手が扉に […]

2023/01/16
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小説

『二人羽織』斉藤千(『芝浜(落語)』(東京都))

 師匠が死んだ。俺に名前を譲る約束もせずに。俺は蝶福亭半角のまま取り残された。  葬式の諸々は弟弟子と姐さんがパッパと済ませた。俺は隅で酒を呷りながら、呆気なく逝っちまった師匠を弔っていた。いや、単なるヤケ酒だった。   […]

2023/01/16
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小説

『大晦日の夜』太田純平(『藪入り(落語)』)

 健作はソファから立ち上がると、まだ大輝は帰って来ないのかと、結露で湿った窓の外に目をやった。数年ぶりに息子が実家へ帰って来る。父の健作にとって、それは一つのイベントであった。 「母さん」 「ハイ?」 「ネギ切ったね?」 […]

2023/01/16
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小説

『Vとの邂逅』森本航(『今昔物語集』巻十九第十四「讃岐国多度郡五位聞法即出家語」(香川県))

 目の前の男はか細い声で「お金ないんです」と言い、謝罪を繰り返している。  暗い夜の道。雄斗たちが歩いていると、この男がぶつかってきた。スマホの画面に夢中だったらしい。  雄斗は溜息を吐いて、いかにも貧弱そうな男を見下ろ […]

2023/01/16
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小説

『福、舞う』紗々木順子(『分福茶釜』(群馬県))

「で、どうしたの、そのこ?」 「いやあ、それがさ」  そう言ってバツが悪そうに坊主頭を掻いている。 「仕事も行くところもないっていうから、しばらくの間うちに置いてあげようと思ったんだけど、女房がやきもち焼いちゃってさ」 […]

2023/01/16
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小説

『約束』霜月透子(『雨月物語』巻之二「浅茅が宿」)

 はためくカーテンをすり抜けて、校庭の笑い声や楽しげに弾んだ声が聞こえてくる。勝野が窓を閉めると、外の声はくぐもって遠のき、図書館に静けさが訪れた。 「ありがとう」  声をかけられて振り向くと、隣のクラスの宮木という女の […]

2023/01/16
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小説

『夕照の道』ウダ・タマキ(『この道』)

 あなたとの十年ぶりの再会に喜びや感動は一切なく、湧き起こる感情は悲哀と積年の後悔だけでした。  眼下に広がる鮮やかな海の色と澄みきった空の青さえ、僕の目には灰色に映ってしまうのです。  そんな景色をぼうっと眺めながら、 […]

2022/12/14
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小説

『四季旅館』阿部凌大(『浦島太郎』)

 私が屋上で一人準備していると、話しかけてきたのは亀山君だった。彼は私に一枚の紙を差し出し、受け取るとそこには暖かな光を宿した豪勢な旅館の外観写真と、その旅館の名前が記されていた。 「四季の移ろいを眺めながら酒が飲めます […]

2022/12/14
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小説

『魂の愛』永佑輔(『菊花の約』)

「この強盗犯に似てますね」  重要指名手配犯の写真が羅列されているポスターを指しながら、唐突に話しかけてきたのは篠村翠だ。地下鉄のベンチでたまたま隣に座った赤の他人によくもまあ言えたものである。  確かに大村誠は駅に貼ら […]

2022/12/14
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小説

『人格が入れ替わらない物語』永佑輔(『とりかへばや物語』)

 「やばっ、遅刻する!」  花子は食パンをくわえながら家を飛び出し、初めての道の初めての角を曲がった。いわゆる朝メシダッシュだ。そのとき、はしたない食べ方をしたバチでも当たったのだろうか、見知らぬ男子とぶつかってしまった […]

2022/12/14
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小説

『手鞠歌』洗い熊Q(『キジも鳴かずば』(長野県長野県))

 無垢な白い洋服を着ている女の子は動くアンティークドールだ。  不釣り合いで艶やかな手鞠を突いて感情なく唄を綴っている。 「いあっといっすおるおく~  おみっちふっそおど~  おえあも、いあっといっすおるおく~」  一瞬 […]

2022/12/14
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小説

『勧酒』センダギギョウ(『幸福が遠すぎたら』寺山修司)

 横浜桜木町方面から大岡川を遡って黄金橋を渡り幾つ目かの路地に入った所に、赤いレンガを積んだ古い建物があった。1階は地元の酔客が今晩の締めに訪れる時代めいたバーになっている。昼は営業をしておらず、陽が傾いてくるといつから […]

2022/12/14
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小説

『コミュニティハウス』太田純平(『笠碁』)

 彼らにとってこの場所は戦場であった。昼下がりの午後。隣の研修室では腰痛体操の集いがあって、時折ご年配の方々の笑い声が漏れて来る。ふと自動扉が開いて掲示物の紙がひらりとはためいた。入って来た和服姿のおばさんが、カウンター […]

2022/12/14
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小説

『ユー&アイ』十六夜博士(『嫁入り竜女の忘れもの』(富山県))

 天国って良く知らないけど、きっとこういうとこかな?  大好きなキャラクターグッズが所狭しと並んでいる。ペンギン、子猫、アザラシ、妖精。でも、私が好きなのは、このコジロー。小犬のキャラクター。私の顔ほどの大きさのぬいぐる […]

2022/12/14
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小説

『ジャック・アマノ』中西楽峰(『天邪鬼伝説』(広島))

 昼に出された給食のカレー。お約束でついてくる牛乳。どちらかに睡眠薬でも入っていたに違いない。黒板を前にハゲた斎藤先生が教科書を読経している。  俺は剣道部で、昼も練習だった。心地良い疲労感と満腹感、つまらん授業の倦怠感 […]

2022/12/14
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小説

『旧い友人』平大典(『文福茶釜』)

 故郷に近づくにつれ、煙草を吸う頻度が増えている。  金曜の夜、高速道路にはトラックばかりが走っていた。俺は一台の中型トラックのおしりにつっくき、じっと銀色に艶めくリアドアを睨んでいた。眠気はある。仕事終わりですぐに名古 […]

2022/12/14
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小説

『玉がない!』K・G(『狐の玉』(福井県南部))

 玉がない、と子狐が叫んだ。朝早くの事である。  玉がないとはどういうことだと親狐は目を丸くして子狐の股ぐらを覗いたが玉はあった。そっちじゃないと子狐が怒り、巣の奥を示した。 「わしの狐の玉じゃ。無くなっとる」  あぁと […]

2022/12/14
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小説

『おそろしい人』斉藤高谷(『五重塔』(東京))

 嫌な役目を引き受けてしまった、と心の底から思った。  ホワイトボードにペンを走らせる度、なにか自分が悪いことをしている気がしてならなかった。  ボードには横並びで〈A〉〈B〉と書かれていた。一票ずつ開票される毎に、その […]

2022/12/14
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小説

『恋の名残り』香久山ゆみ(『曽根崎心中』(大阪))

 恋がしたい。  すべてを捨てても惜しくないと思えるほどの、身を焦がすような、本気の恋を。  前に付き合っていた男はろくでもない奴だった。  私のことを愛していないくせに、私には愛することを求めた。合鍵を渡し、留守の間に […]

2022/12/14
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小説

『神来月』蒼薫(『鶴の恩返し』)

 雨が冷気の針となって降り注ぐ夜、そいつを見つけた。シャッターが閉じた店の前で、横になっていた。高校生、大学生くらいの青年のような少年。寒くて白くなっているのか、もともと肌が白いのか。彼の顔を見ればこのまま死ぬことが高卒 […]

2022/12/14
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小説

『月と満ちる』ヤマベヒロミ(『竹取物語』)

 「水曜日はフルーツサンドある日じゃん!絶対食べたーい。ね、広太お願い!」  今日も朝から、美香の無茶振りのワガママが炸裂する。  「しょうがないなあ。三限終わったら購買部までダッシュしてくるわ」  「やったあ!ありがと […]

2022/12/14
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小説

『水底のうた』裏木戸夕暮(『大漁』金子みすゞ)

「孝ぃ、何その貧相なオカズ」  眼鏡の少年が一人食む弁当を、後ろから別の少年が覗く。 「イワシの蒲焼」 「イワシ?」 「この甘辛いタレが好きなんだよ」 (他人の弁当を貧相って言うな)  心の声を鰯と一緒にパクリ。 「ふー […]

2022/12/14
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小説

『虫と男と、』宮沢早紀(『蜘蛛の恩返し』(青森県))

 ひゃっと短い悲鳴が上がった瞬間、僕は素早く立ち上がる。  どんなに動きが速いヤツも、僕の手にかかれば一発だ。隙をついて身動きをとれなくする。 「ここはお前の来るところじゃない。もう来るなよ」  そう告げて外へ放り出すと […]

2022/12/14
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小説

『もめ太郎 1/1000ピース』山本世衣子(『桃太郎』)

 僕は揉め事から生まれた「もめ太郎」。本当の名前は川上拓斗。どんぶらこ、どんぶらこ、揺られながら、揉め事から生まれ、気づいたら10歳になっていた。  僕を産んでくれたママとパパは、いつも何か揉めている。秋晴れの土曜日だっ […]

2022/12/14
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小説

『李の家』柿ノ木コジロー(『子取り』(大分県))

 はい、物ごころついた時にはすでに、くだんの夫婦に養われておりました。  おまえはほんとうの子ではない、まだ乳飲み子の頃、遠く離れた村はずれの道端に捨てられていたのを拾って来たのだよと常々教えられておりました。  それで […]

2022/12/14
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小説

『太閤虎と犬』なるみ(『大阪城の中のとら』(大阪))

 今から400年前。大阪城の門を入ったところに、生きている大きなトラが一匹、檻に入れられて飼われていたそう。  その頃、お城には、豊臣秀吉公がおられました。このトラは朝鮮出兵した武将の加藤清正が生け捕って、秀吉公に献上し […]

2022/12/14
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小説

『夢日記』海洋単細胞(『夢十夜』)

 暗い座敷のような場所に通された。  この部屋に案内されたのはつい先程だと言うのに、もうすでにどうやってここまで来たのか、案内人はどんな様相だったか、いや男女どちらだったのかさえ思い出せなくなっていた。 音もなく、不気味 […]

2022/12/14
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小説

『神さまなんて信じない』さくらぎこう(『わらしべ長者』)

 僕は神様を信じない。オヤジは神仏を一切信じなかった。だから僕の家に神棚はなく、祖父母が亡くなっているため小さな仏壇はあったが、そこに供物が供えられていることはなく、線香の煙が立ち上ることもなかった。  祖父が亡くなった […]

2022/12/14
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小説

『蜘蛛の糸 その後』門外不出(『蜘蛛の糸』)

 御釈迦様が極楽の蓮池からぶらぶらと歩き始めると、沈んだはずの血の池からカンダタの大音声が聞こえてきました。 「俺を救おうと、蜘蛛の糸を垂らした者よ。お前の罪は問われないのか」  聞き捨てならない問いに、御釈迦様は極楽の […]

2022/12/14
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