メニュー

  • トップ
  • 受賞一覧
  • 映画化一覧
  • 作家インタビュー
  • 公募中プロジェクト
  • 創作プロジェクト
  • お問い合わせ
               国際短編映画祭につながる「ショートフィルムの原案」公募・創作プロジェクト 奇想天外短編映画 BOOK SHORTS

\ フォローしよう! /

  • トップ
  • 受賞一覧
  • 映画化一覧
  • 作家インタビュー
  • 公募中プロジェクト
  • 創作プロジェクト
  • お問い合わせ

Category 小説

小説

『夏の夜』平大典(『古事記』)

 俺は何秒間呆然としてのだろうか。  汗をいくら拭いても身体中がべとついて不快な気分が晴れない夏の夜だった。  妻と六歳になる息子の俊太を連れて、近所の神社で開催された地区の夏祭りに出かけた。祭りは午後六時から始まったが […]

2022/02/15
0
小説

『浦島君の「う」は嘘つきの「う」』不動坊多喜(『浦島太郎』)

 私が浦島君を拾ったのは、春だった。  その日、駅から出てきた私にティッシュが差し出された。花粉症の私は素直に受け取り、渡してくれた人の顔を見た。  すり切れたリュックを背負った小汚い男だった。が、顔が好みだった。  当 […]

2022/02/15
0
小説

『竹取り祭り』百瀬宏(『竹取物語』)

 ミツキとの初めての出会いは十年前の竹取り祭りの日だった。小学二年生の私が祭りの花火大会へ行こうとして夜に竹林の中を通ったら、迷子になってしまった。そこへ突然現れたミツキは鼻水を垂らしてワンワンと泣き叫けぶ私の手を引いて […]

2022/02/15
0
小説

『八百万人事課』小柳優斗(『ちんちん小袴』(新潟県佐渡島ほか))

一 「及川さん、もうすぐ着きそうですか?」  だらだらとした畦道を、ぼうっと歩いていたその矢先にいきなり呼びかけられ、びくっと体が震えた。目を瞬くと、眩しい昼日中の光の中、黒い影法師のような後ろ姿が瞳に映る。この蒸し暑い […]

2022/02/15
0
小説

『座敷童子たちの庭』川瀬えいみ(『座敷童子の伝説』(岩手県))

 両親が他界してから十数年。ツトムが生まれ育った家はとうにない。ツトムは一人っ子。亡き両親にも係累はなかった。  つまり、ツトムの故郷に、彼を温かく迎え入れてくれる親戚は一人もいないのだ。  畑中ツトムがそんな故郷に帰る […]

2022/02/15
0
小説

『僕の見る世界』香久山ゆみ(『おいてけ堀』(東京))

 僕は仕事ができない。  営業のくせに人の顔を覚えられない。  昔から人の顔を覚えるのが苦手だ。取引先と外でばったり会っても気づかない。それどころか、自分の会社の偉い人の顔が分からないし、同じ課の同僚でさえ、職場で会えば […]

2022/02/15
0
小説

『しっぺい太郎に気をつけろ』月山(『しっぺい太郎』(静岡県磐田市))

 やってやった、やってやった、やってやった。  ついに誘拐してやった。  どうだ見ろほら俺にだってデカい事ができるんだ。  男は犯罪組織に所属していた。  末端も末端、下っ端、ザコ、顔も知らぬ上の人間から命令され老人を騙 […]

2022/02/15
0
小説

『花が咲きますように』霜月透子(『花咲かじいさん』)

 改札口を抜けると、強い日差しに目がくらんだ。街路樹では蝉がせわしく鳴いている。  まばゆさに目が慣れると、そこには見慣れない街が広がっていた。駅前の横断歩道で信号待ちをしている間に視線を彷徨わせていると、サチが隣で笑っ […]

2022/02/15
0
小説

『さまよえる月光』滝村透(『竹取物語』)

 バイト先から帰路に就いたとき、腕時計の針は午後九時を指し、陽はすっかり沈みきっていた。東京の夏は茹だるような暑さで、道ゆく人々の中には、滴る汗を拭うサラリーマンや、憂鬱を誤魔化そうと談笑する若者の姿が見られる。長い労働 […]

2022/02/15
0
小説

『こころむすび』ヤマベヒロミ(『おむすびころりん』)

「今日は思い切って、ツナマヨにしてみるか…」  2ヶ月前に妻の妙子を亡くしてから、昼食はいつも、コンビニおにぎりが2つ。それを職場近くの公園で食べるのが、すっかり日課になっていた。  30年間1日も欠かすことなく、弁当を […]

2022/02/15
0
小説

『まち針心中』犬浦香魚子(『蛇婿入り』)

 カシの木の下。プリーツのスカートをくしゃくしゃにして、少女が寝転んでいた。あたりは、見渡すばかりの草原。ざわざわと揺れる草に合わせて、制服のリボンがひるがえる。  すぐ耳元の地面から、怒った声が飛んできた。 「真子!」 […]

2022/02/15
0
小説

『水仙』風乃絹(『松山鏡伝説』(新潟県))

 「またお日さまが昇る前に起きてしまった」  もう何週間もぐっすり眠れていない。今日もまばたきをするように自然と目が開いた。そして目の前に広がる闇を見て、ああまたかと悲しい絶望感に襲われるのだ。原因は分かっている。数週間 […]

2022/02/15
0
小説

『花子さんがいた頃』いずさや(『トイレの花子さん』)

 私はよく、トイレで「花子さん」とお喋りをした。  両親がケンカをしているとき。クラスで陰口を言われているのを聞いてしまったとき。辛くて、どうしたらいいのか分からなくなったときに、私はトイレに逃げた。誰からも見られないし […]

2022/02/15
0
小説

『羽衣とあけび』折本識(『羽衣伝説』(山陰地方))

 昔むかし、あるところに達吉という男がおりました。達吉は薪割りや柴刈りをして生活をしておりました。村には弥兵衛という歳の近い友人もおり、よく二人で山に入っては仕事をし、他愛もない話で退屈を紛らわせていました。  達吉が柴 […]

2022/02/15
0
小説

『橋の上、真ん中あたり』室市雅則(『橋立小女郎』(京都府))

「ぶぉん、ぶぉん」  効果音を口に出して、赤く光る誘導灯をライトセーバーに見立ててぶん回した。  気分はジェダイ。  現実は、これから紅葉を迎える季節に四条大橋の北東側で下水工事における歩行者の誘導を行なっている警備員。 […]

2022/02/15
0
小説

『ふたり虹を渡った』もりまりこ(『おむすびころりん』(東北))

わたしはギリと呼ばれてる。 稼業がおにぎり屋さんなのでギリと呼ばれてる。 おにぎり屋さんだというのに、わたしはいつからか ご飯を誰かと食べられなくなっていた。 誰かの視線を感じながらおにぎりをたべることがこわい。 ギリっ […]

2022/02/15
0
小説

『巳吉のわらじ』後藤幹雄(『ごんぎつね』(愛知県))

浮谷村のはずれでおっ母と暮らす巳吉。生きるために作り続けるわらじを通して、村人たちとの日々の様子を素朴に描きます。 巳吉は朝のまぶしい光で目が覚めた。「寝すぎた。」少しあわてて起き上がり、土間の瓶の水で顔を洗った。 おっ […]

2022/02/15
0
小説

『電車』久遠さくら(『蜜柑』)

 いつもの帰り道のことである。    その日は特に変わったこともなく、定時を過ぎての残業を終えて、自分を迎えてくれる人が誰もいない、寂しくも満足な自宅へと帰宅していた。音楽が好きで、よく移動中は中毒者のように永久的にイヤ […]

2022/02/15
0
小説

『鬼さんこちら』太田純平(『福は外、鬼は内』(山形県))

 今年も節分がやってきた。 「せつぶんってなぁに?」  と娘のチヨがパパに訊く。 「節分っていうのはね、鬼を追い払って福を呼ぶ、立春前日の伝統行事で――」  パパの回答にすかさず台所のママからツッコミが飛ぶ。そんなんで分 […]

2022/02/15
0
小説

『怠け神』小山ラム子(『怠け神』(山梨県))

 気が付いたら奴はそこにいた。糸のように細く、豆粒みたいに小さい男。 「俺は怠け神だ」  この部屋の中で唯一スぺースの空いているベッドの上にすわり、その男はニイッと笑った。  最初にめんどくさくなったのはなんだったっけ。 […]

2022/02/15
0
小説

『花田の桜』立田かなこ(『花咲かじいさん』)

 とある山村に、花田という男が越してきた。彼は長年連れ添った妻を亡くしたのをきっかけに、幼き日を過ごした旧家に戻ってきたのだ。  荷物は引っ越し業者が全て運び入れてくれたようで、手元にあるのは使い古した鞄と、 「ペロ。今 […]

2022/02/15
0
小説

『飯縄山は一九一七(ひくいな)』瀬木哲(『だいだらぼっち伝説』(長野県長野市))

 信濃の国の飯縄山(いいづなやま)は、善光寺平(ぜんこうじだいら)を見下ろす北の空に高く大きくそびえ立っていました。  ある日、飯縄は後ろにひかえる山々に呼びかけました。 「おーい、戸隠(とがくし)どん、黒姫(くろひめ) […]

2022/02/15
0
小説

『流れる』白川慎二(『舌切り雀』)

 むかしむかしの話です。  おばあさんが竹林の中で、ごろりと横になっていました。僅かでも動こうとすると腰に稲妻のような痛みが走ります。月のない晩です。おばあさんは闇の深さも、うっすらと露に濡れゆく体も、ちっとも嫌ではあり […]

2022/02/15
0
小説

『ウラシマ』五条紀夫(『浦島太郎』)

 時が流れていく。まるで川のように、悲運の瞬間も、幸福な日々も、すべて等しく過去という海原に運ばれていく。そう、海だ。なにもかもやがては海の泡となって消える。それを心の傷を癒す優しさと捉える人もいるだろう。けれど、わたし […]

2022/02/15
0
小説

『腫瘤』加持稜誠(『こぶとりじいさん』(岩手県))

 「やった! マジで?!」  一哉は降って湧いた幸運に狂喜した。  たまたま仕事帰りに寄ったスーパーで、たまたま引いた福引がなんと特賞!  その賞品はなんと、およそ10万円は下らない高級掃除機。引っ越してからこっち、新し […]

2022/02/15
0
小説

『岩が落ちたら』Tsukishita(『鯖くさらかし岩』(長崎県時津町))

 故郷の潮の香りなんて、いったい何年ぶりだろうか・・・。空港発の高速船を降りた僕はマスクをずらし、肺にたっぷり空気を流し込んだ。ぼんやりと、人が道を行く音と子どもの声が聞こえる。懐かしい町の雰囲気に安心しつつ、キャリーバ […]

2022/02/15
0
小説

『雨に消えた子』山崎ゆのひ(『あめふり(童謡)』)

「ちぇ」  下校時になっても雨が止まない。ランドセルを背負いながら、僕は不機嫌な顔を取り繕えなかった。傘を手に、母が校門の陰で僕を待っていると思ったからだ。  低学年の頃は、学校に母が来てくれるのがうれしかった。母の庇護 […]

2022/02/15
0
小説

『穂に出いで』斉藤高谷(『狐女房』(石川県))

 父は二択に弱い人だった。コインを投げれば決まって父が選ばなかった面が出たし、交差点で迷った時は選んだ道が必ず遠回りになった。 〈運がない〉といえばそうなのだけど、それ以上に父には状況を見定める眼がなかったのではないかと […]

2022/02/15
0
小説

『大晦日の休日』田中竜也(『笠地蔵』)

「どうこれ? きれいでしょ?」  妻は新しく買った着物をうれしそうに夫に見せた。 「あぁよかったね、きれいだね。去年も似たようなの買ったけど、しまいっぱなしじゃないか」 「あれは去年までの流行。今年は扇の柄が流行ってるの […]

2022/02/15
0
小説

『タニシの義姉』日下雪(『タニシ長者』(岩手県))

 妹が、タニシと付き合うことになった。大学へ入って一年半、初夏の風が薫る頃、妹は私に一葉の写真を見せ、凛とした声でそう告げたのだ。 「おねえちゃん、私、この人と付き合ってるの。」 スマホの画面に目をやり、そこに小さく地味 […]

2022/02/15
0
Load more
Copyright © Pacific Voice Inc. All Rights Reserved.
  • お問い合わせ
  • プライバシーポリシー