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               国際短編映画祭につながる「ショートフィルムの原案」公募・創作プロジェクト 奇想天外短編映画 BOOK SHORTS

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Category 小説

小説

『水曜日の午後にシロツメクサが降る町』イワタツヨシ(『浦島太郎』)

ツイート  私が子供の頃に暮らしていた町は、直方体のかたちをしたケーキの箱のようなものの内部につくられていた。その箱は、外側から何も入ってこないように、普段は隙間なく閉じていた。閉じた空間だったが、その広さは十キロ平方メ […]

2017/04/01
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小説

『逢魔が時』檀上翔(『遠野物語』)

ツイート  1  つまらないことを引き受けてしまった、左右に揺れながら進む汽車のなかで呟く。窓映る強張った顔の向こうで、深緑の山々が年老いた亀のようにのろのろと後退している。  蛇のように曲がった山間の川の流れは、昔見た […]

2017/04/01
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小説

『物語る』恵(『シンデレラ』)

「昔々、あるところに、シンデレラという心優しい娘がおりました。シンデレラは父親と2人、仲良く暮らしておりました。ある日、父親は再婚をしました。シンデレラの美しさを妬んだ継母と連れ子の姉達に召使のように扱われるようになりま […]

2017/04/01
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小説

『飼育』植木天洋(『人魚姫』)

ツイート  バスルームからは生臭いにおいが漂ってくる。ドアをキッチリと閉めても、隙間をガムテープでふさいでも、消臭剤を部屋中においても、ひどい臭いはどこからか忍び入ってくる。  締め切ったバスルームから、バシャバシャと乱 […]

2017/04/01
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小説

『最後の料理』NOBUOTTO(『銀河鉄道の夜、注文の多い料理店』)

ツイート 1.宇宙海賊ラポ  ラポはベットに横たわっているジョバンニの顔を何度も覗き込んでいた。大きなベットの中の小さな少年は静かな寝息を立てていた。その寝息を確認するように覗き込んでは部屋の中を思案げにラポは歩き回って […]

2017/04/01
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小説

『大輪の花』菊野琴子(『酒呑童子』)

ツイート  ここは寒い。とても寒いところだ。  こまかくて硬い雪は片栗粉みたいな音をたてて足の下で軋む。木々や枯れ草は馬鹿みたいにきらきらと輝いている。これは霧氷というものらしい。僕は勝手に「氷の花」と呼んでいたけれど。 […]

2017/04/01
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小説

『マッチの火が消えれば』西野まひろ(『マッチ売りの少女』)

ツイート 「では、次は私の番ですね」と彼女が慣れた手つきでマッチの先端をマッチ箱にこすりつけ、火をつけた。  柔和に揺れる火の光が彼女や俺たちを照らす。彼女はマッチの火をしばらく見つめたあと、それを地面に落とし、話しを始 […]

2017/04/01
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小説

『キャッチコピー』多田正太郎(『童謡・冬の星座』文部省唱歌)

ツイート ♪木枯らしとだえて。 さゆる空より・・。 星座はめぐる。 納得できるか? 何のことだ? 普通、すぐそこってー感じだろ。 目と鼻の先、ったらよ。 まぁそんな感じだよなぁ。 だろ。 それが、16光年だと。 16光年 […]

2017/04/01
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小説

『弧の増殖』末永政和(岡本綺堂『海亀』)

ツイート  月夜の晩のことだった。一人浜辺を歩いていた。道の灯りもここまでは届かず、薄雲のあいだから漏れ入る月光だけが、私の影を砂地に深々と縫い付けていた。  振り返ってみれば、たった一人の足跡が点々と浜辺に伸びている。 […]

2017/04/01
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小説

『なでしこの花』羽矢雲与市(『酒呑童子』)

ツイート  淡い月明かりの下、京(みやこ)の小路(しょうじ)を往く二つの人影がありました。男は二十歳で名を仁王丸と言います。女は十六歳、名を「なでしこ」と申しました。 「中納言の姫は本当に家を出たいと望んでいるのか」   […]

2017/04/01
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小説

『春色のマニキュア』緋川小夏(『マッチ売りの少女』)

ツイート 「お母さん、体の具合はどう?」  個室のドアを開けると、排泄物と老人特融の饐えた汗の臭いがした。部屋の中は薄暗く、無機質でがらんとしている。母はベッドの上に膝をついて座り、こちらを振り向きもしないで窓の外をじっ […]

2017/04/01
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小説

『主よ、人の目覚めの喜びよ』微塵粉(『三年寝太郎』)

ツイート  ごと、と母が花瓶を置く音。酸素マスクの感触。消毒液のにおい。  いつもの順序で、おれは覚醒していく。  じんわり瞼を上げると、見慣れた病室である。ベッド脇のパイプ椅子に母が座り、スマートフォンをいじっている。 […]

2017/04/01
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小説

『紅葉かつ散る』鹿目勘六(『一房の葡萄』)

ツイート  黄水仙が春の日差しの中で鮮やかに光を放っている。 その周りにはチューリップも花芽をもたげている。万物は蘇りの季節を迎えた。  冴子の借りている僅かばかりの畑も確かに春の到来を告げている。  それらを目で楽しん […]

2017/04/01
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小説

『カノン』柿沼雅美(『花をうめる』)

ツイート  校舎の裏の花壇のところに花音がいたよと、教室に戻って来た友達が教えてくれて、私はすぐに追いかけた。後ろから、いくら仲良しアピールしたくたって休み時間からい別々でいいんじゃねー、と男子の声が聞こえた。  階段を […]

2017/04/01
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小説

『ブレーメンの音楽隊』多田正太郎(『ブレーメンの音楽隊』)

ツイート 濃い霧の中。 兄弟の旅人が二人。 ブレーメンの町に、むかっていた。 連中の演奏よー? どうかしたか? うん。 なんか変か? だってよ、それがどんなのか、分からんだろ まぁ、そうだよなぁ。 まぁ、も、なにも、それ […]

2017/04/01
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小説

『発端』鈴木一優(『桃太郎』)

ツイート 「あ、じっちゃん」  眼前にある漣の音に耳を傾けていたおじいさんは、聞き覚えのある声に自分が呼ばれているのだと気づき振り向く。  立っていたのは幼い顔立ちの男の子。その姿を見たおじいさんは口を開き、彼の名を呼ぶ […]

2017/04/01
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『戦にまつわる干支セトラ』小塚原旬(『十二支のはじまり』)

ツイート 子  直線距離にして33km、そして高低差は634m。  そこに私たちのゴールがある。  私たちは歓声に沸く、満員の横浜スタジアムのど真ん中でレースが始まるのを待っていた。  選手の数は高校生、大学生を中心に総 […]

2017/03/31
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小説

『カボチャの馬車にお邪魔』洗い熊Q(『シンデレラ』『ぶんぶく茶釜』『金の斧』)

ツイート  白色に照らす灯が反射し、揺らめくように輝く長い階段。  段差の小さな行程をシンデレラは確実に、そして必死になって下っていた。  煌びやかなドレスを翻し彼女が振り返り見ると、絢爛な大時計台の針に視線が釘付けにな […]

2017/03/31
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小説

『すてきなお家』逢坂一加(『みにくいあひるの子』)

ツイート  改札を抜けて、商店街とは反対方向に進む。ぽつんと立っているパン屋を通り過ぎれば、人気のない住宅街だ。街灯だけはちゃんと点いている。人の気配は、家の中だけにある。  私の家は、もう少し先にある。  取り付けた照 […]

2017/03/31
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小説

『僕は惑星』義若ユウスケ(『よだかの星』)

ツイート  とっても寒い八月だった。その年、日本では一年中雪が降っていた。春になっても桜は咲かなかったし梅雨になっても雨は降らなかったし夏になってもセミは鳴かなかった。  セミは鳴かなかったしスイカも生らなかったけど、甲 […]

2017/03/31
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小説

『みずうみ』末永政和(『みにくいアヒルの子』ヘッセ『ピクトルの変身』)

ツイート  夜があった。  鬱蒼と生い茂った樹々の葉は、暗闇の重みに耐えかねるように頭を垂れて、一様に沈黙していた。星の光は枝葉にさえぎられ、夜に溶けていった。  人里離れた森のなかには一際高い大樹があり、大きく開いたう […]

2017/03/31
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小説

『邪悪の森』和織(『狂人は笑う』『猟奇歌』夢野久作)

ツイート 「やぁ先生」  人懐っこくそう挨拶してきた患者Yは、相変わらずうんざりするくらいに血色がいい。彼が体調の悪かったりしたところを、私は見たことがない。とても、精神病院の患者には見えない。 「君に問題を起こす気がな […]

2017/03/31
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小説

『白梅、紅梅』冬夜(『しらゆきべにばら』)

ツイート  涙が乾いて、頬がひりひりしていた。  ベランダに出ようとしたが、東京にも梅の香りが飛んでくる季節。また目頭が熱くなる気配がしたので、慌てて窓を閉めた。部屋の中をぼんやり見まわす。女二人で暮らすには少し狭いのか […]

2017/03/31
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小説

『一物』山羊明良(芥川龍之介『鼻』)

ツイート  小山町のインディアン・マイクといえば内藤善治のことで、彼の股間にぶら下がった男根のことを知らない者はいない。長さは三十センチをゆうにこえ、太さは大根なみ、ズボンをはけばまるでツチノコの類が這いあがっているよう […]

2017/03/31
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小説

『ホープスカイ』和織(『うろこ雲』)

ツイート  銀の糸がチラついて、それに目を釣り上げられるように空を見上げた。小さな銀の妖精が、そこにいる。でもその妖精は、僕にしか見えないくせに、どうしようもない僕をどうにもしようとはしない。ふらふらとふわふわと、目の前 […]

2017/03/31
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小説

『熱海の魔女』伊藤なむあひ(『ヘンゼルとグレーテル』)

ツイート  魔女だなんて言われていてもわたくしだって人間だし寂しいものは寂しいのです。お母さまが遺してくれた家のおかげで住むところにも食べるものには困らないし、服だって代々伝わる黒のワンピースと三角帽がフルサイズでそろっ […]

2017/03/31
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小説

『REBOOTER / リブーター』結城紫雄(『変身』カフカ)

 大下カズトが目を覚ますと、自分が虫に変わっているのを発見した。頭を持ち上げると、筋肉で膨らんだ緑色の腹筋が見える。額に手をやると、眉間に細い二本の触角が生えていた。  どうしたことだ、と彼は思った。夢ではない。見回す周 […]

2017/03/31
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小説

『カエルの婿』木江恭(『カエルの王様』)

ツイート  またカエルが来ている。  庭の縁側にちょこんと座って、リビングの大きなガラス窓の右下からじっとこっちを見つめている。黒っぽくてぬるっとした見た目と大きな目が怖くて、わたしは漢字ドリルを放り出して台所のママのと […]

2017/03/31
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小説

『王様の選択』室市雅則(『裸の王様』)

 裸やないか。  姿見の前で王様は一人で呟きました。  子持ちシシャモのような腹が青と白のストライプのパンツに乗っかっています。  正面を向いたり、横を向いたり、振り返ってみたりと何度かポーズを変えますが、王様の表情は晴 […]

2017/03/31
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小説

『続・銀河鉄道の夜』藤野(宮沢賢治『銀河鉄道の夜』)

ツイート  「以上のように、天河石は石炭とは比べ物にならないくらいの動力を生み出すことができます。また、その性質上、とくべつな磁力をもつ場においては月長石と惹かれあうことが実験の結果から導き出されております」  ジョバン […]

2017/02/23
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