メニュー

  • トップ
  • 受賞一覧
  • 映画化一覧
  • 作家インタビュー
  • 公募中プロジェクト
  • 創作プロジェクト
  • お問い合わせ
国際短編映画祭につながる 短編小説「公募」「創作」プロジェクト 奇想天外 BOOK SHORTS

\ フォローしよう! /

  • トップ
  • 受賞一覧
  • 映画化一覧
  • 作家インタビュー
  • 公募中プロジェクト
  • 創作プロジェクト
  • お問い合わせ

湊かなえさんインタビュー

ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2014 オフィルコンペティション 公式審査員を務めていただいた作家の湊かなえさんに、ショートフィルムやご自身の作品の映像化、さらにブックショートについてお話を伺いました。

湊かなえ – 小説家

1973年、広島県生まれ。

2007年に「答えは、昼間の月」で第35回創作ラジオドラマ大賞、「聖職者」で第29回小説推理新人賞を受賞。08年に同作を収録した『告白』を刊行。09年に第6回本屋大賞受賞、10年に映画化され、累計300万部を超えるベストセラーとなる。12年に「望郷、海の星」(『望郷』に収録)で第65回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。

映画化された作品に『往復書簡』(「北のカナリアたち」原案)『白ゆき姫殺人事件』、テレビドラマ化された作品に『贖罪』『夜行観覧車』『花の鎖』『境遇』『高校入試』(脚本も手がける)がある。

他書に『少女』『Nのために』『サファイア』『母性』『豆の上で眠る』があり、最新作は『山女日記』

─今年のショートショート フィルムフェスティバル & アジアでは、審査員を務めていただきありがとうございました。いかがでしたか?

 あんなにもたくさんのショートフィルムを見たのは初めてでしたが、作る側の立場の人間としてすごく勉強になりました。短編小説と長編小説の違いを改めて考え、それに基づいて、長い2時間くらいの映画とショートフィルムの面白さの違いをすごく考えるきっかけになりました。また、物語を書く際、着眼点がすごく大事だと思っているのですが、今回、面白い着眼点の作品にたくさん出会えて楽しかったです。

─短編小説やショートフィルムの面白さはどんなところにあると思われますか?

 やっぱり面白い作品や引き込まれる作品というのは、無駄が無い。削って削って、削っていくなかで、自分が言いたいことや表現したいことがすごく浮き出てくると思うんですよ、彫刻みたいに。一度書いてしまったものや撮ってしまったものを削るのってもったいないと思うかもしれないけど、削ったところ、すごくギリギリのところにいい姿が見えたものが面白い作品なんだな、と感じました。

─今回スタートしたBook Shortsでは、短編小説を公募し大賞をショートフィルム化します。湊さんの作品は、数多く映画化、テレビドラマ化されていますね。

 小説は、自分で完成させた一つの作品なので、映像化は後からついてくるご褒美みたいなものだと思っています。だから、書いたものをそのまま撮っていただくよりも、壊して、再構築して、小説の中では見えてこなかった別の姿が現れて、この話をこういう風に見たら、こんな見え方もあったんだ、という気付きや発見がある作品になって欲しい。そうなったものは、幸せな映像化だったなぁと感じます。

─映像化に際して、スタッフの皆さんとどんなやりとりをされるのですか?

 脚本には口をはさまないようにしています。よっぽど、解釈が違うとか、こういう風には捉えてほしくないということがあったら違うのかもしれないのですが、実際出来あがった台本を読むと、あ、面白い、早く映像になったものを見てみたい、と思うような捉え方を皆さんして下さるので、一歩下がってお客さん気分で楽しんでいます。

─映画を観てから小説を読むのと、小説を読んでから映画を観るのはどちらがおすすめですか?

 どちらが先でもいいです。ただ、こんなことを言うと商業的にはいかがなものかと思うんですけど(笑)、これは駄目だと思うのが、映画を観てなんだか良くわからなかったから本を読んだら理解できた、とか、その逆のパターンとか。どちらかがどちらかを補うものであっては駄目。どちらもそれぞれ完成された一つの作品で、映画だけでも、本だけでも楽しめなくてはいけない。もちろん両方観たらまた両方の面白さがあると思うんですけど、一番やってはいけないのは、本を読んでないとこの二人の関係がわからない、みたいな、補うものであってはいけないと思っています。映像化されるときは、私は本として完成した作品を書いたので、さぁどうぞ!挑んでください!という感じですね。私が表現しきれなかったところを映像でお願いします、みたいなことをしたら駄目ですね。本は本で完成させなければならないし、そうだからこそ映像化したときに深みが出るんだと思います。

─Book Shortsの今回のテーマは、昔話や民話などをモチーフにした短編小説です。湊さんの作品にも、『雲の糸』(『望郷』に収録)や『白ゆき姫殺人事件』など、昔のお話やキャラクターを想起させる作品がありますね。

 作品を書くときにモチーフが一つ浮かぶと、割とそこから膨らんでいくんですけど、『雲の糸』を書いたときは、歌手になった主人公がまず先にありました。彼が高いところを目指していく、そこに色んな人が絡み付いてきて、と。それをどう捉えるか、というのは芥川龍之介の『蜘蛛の糸』に通じるものがあるのかな、と思いました。さらに、“蜘蛛”を、空に向かうという意味で“雲”という書き方にすると、ファンタジーというよりは、象徴的なものにかわるのかな、という思いもあって『蜘蛛の糸』をモチーフに使いました。

─先に『蜘蛛の糸』ありき、というわけではなかったのですね。

 物語をモチーフに、とか、現代版に、っていう意識はあまり無いんですけど、『白ゆき姫殺人事件』のときは、みんなが知っているお姫様って何だろうと考えて、一つみんなで共通する認識があるとイメージが膨らんで、ネットとかでも拡散しやすいのかな、とか、話題にしやすいのかな、ということでモチーフにしましたし、『豆の上で眠る』という作品では、アンデルセン童話の『エンドウ豆の上に寝たお姫様』を、小さな小さな違和感を表現するのに適しているな、といった感じで。全体をアレンジしたことは無いけれど、モチーフとしてはよく用いています。

─全体をアレンジしてみたいと思われる物語はありますか?

 昔話もいいなぁと思うんですけど、森見登美彦さんが『走れメロス』などアレンジされていますが、大宰治とか芥川龍之介とか、あのあたりの作品が現代だったらどうなるかなぁと思います。普遍的なものを掬い上げて、現代にアレンジするようなことをしてみたいので。太宰治の短編でいうと『皮膚と心』や『千代女』とか。短編集に収録されている小さな作品です。自分のみてくれとか、才能に葛藤している女性が主人公で、その心は現代の女の人にも通じると思います。一方で、今は当時のように閉じられた空間ではないので、女性が職業につくのも当たり前になっているし、結婚も女性が男性に選んでもらうわけではなく、自分の意志も反映される時代になっている。じゃあ、今の時代にそんな心を持った女性の物語を書いたら、どういう風に広がっていくのかなと、そこから想像するのは楽しいですね。そういうのに向いているのは短編。アレンジとかは長編でやるよりは短編でやった方が楽しいですよね。だから、Book Shortsはすごく面白い企画だと思います。

─ありがとうございます。では、最後に、Book Shortsに応募しようと思ってくださっている方にメッセージをお願いします。

 アレンジだからこそ、元の作品をぶっ壊して、他の人が思いつかないような独自の世界を表現できた作品が面白いんじゃないかと思いますし、削る作業、削って削って削るなかに見えてきたものを大事に掬い出してほしいと思います。

─ありがとうございました。

(2014.7.18)

*賞金100万円+ショートフィルム化「第5回ブックショートアワード」ご応募受付中*

*インタビューリスト*

馳星周さん(2019.1.31)

本谷有希子さん(2018.9.27)
上野歩さん(2018.5.31)
住野よるさん(2018.3.9)
小山田浩子さん(2018.3.2)
磯﨑憲一郎さん(2017.11.15)
藤野可織さん(2017.11.14)
はあちゅうさん(2017.9.22)
鴻上尚史さん(2017.8.31)
古川真人さん(2017.8.23)
小林エリカさん(2017.6.29)
海猫沢めろんさん(2017.6.26)
折原みとさん(2017.4.14)
大前粟生さん(2017.3.25)
川上弘美さん(2017.3.15)

松浦寿輝さん(2017.3.3)

恩田陸さん(2017.2.27)
小川洋子さん(2017.1.21)
犬童一心さん(2016.12.19)
米澤穂信さん(2016.11.28)
芳川泰久さん(2016.11.8)
トンミ・キンヌネンさん(2016.10.21)
綿矢りささん(2016.10.6)
吉田修一さん(2016.9.29)
辻原登さん(2016.9.20)
崔実さん(2016.8.9)
松波太郎さん(2016.8.2)
山田詠美さん(2016.6.21)
中村文則さん(2016.6.14)
鹿島田真希さん(2016.6.7)
木下古栗さん(2016.5.16)
島本理生さん(2016.4.20)
平野啓一郎さん(2016.4.19)
滝口悠生さん(2016.3.18)
西加奈子さん(2016.2.10)
白石一文さん(2016.1.18)
重松清さん(2015.12.28)
青木淳悟さん(2015.12.21)
長嶋有さん(2015.12.4)
星野智幸さん(2015.10.28)
朝井リョウさん(2015.10.26)
堀江敏幸さん(2015.10.7)
穂村弘さん(2015.10.2)
青山七恵さん(2015.9.8)
円城塔さん(2015.9.3)
町田康さん(2015.8.24)
いしいしんじさん(2015.8.5)
三浦しをんさん(2015.8.4)
上田岳弘さん(2015.7.22)
角野栄子さん(2015.7.13)
片岡義男さん(2015.6.29)
辻村深月さん(2015.6.17)
小野正嗣さん(2015.6.8)
前田司郎さん(2015.5.27)
山崎ナオコーラさん(2015.5.18)
奥泉光さん(2015.4.22)
古川日出男さん(2015.4.20)
高橋源一郎さん(2015.4.10)
東直子さん(2015.4.7)
いしわたり淳治さん(2015.3.23)
森見登美彦さん(2015.3.14)
西川美和さん(2015.3.4)
最果タヒさん(2015.2.25)
岸本佐知子さん(2015.2.6)
森博嗣さん(2015.1.24)
柴崎友香さん(2015.1.8)
阿刀田高さん(2014.12.25)
池澤夏樹さん(2014.12.6)
いとうせいこうさん(2014.11.27)
島田雅彦さん(2014.11.22)
有川浩さん(2014.11.5)
川村元気さん(2014.10.29)
梨木香歩さん(2014.10.23)
吉田篤弘さん(2014.10.1)
冲方丁さん(2014.9.22)
今日マチ子さん(2014.9.7)
中島京子さん(2014.8.26)
湊かなえさん(2014.7.18)

HOME

Copyright © Pacific Voice Inc. All Rights Reserved.
  • お問い合わせ
  • プライバシーポリシー