LOVE KAMATA AWARD第1期にご応募いただいた作品の中から選ばれた優秀作品17作品です。
『ファミリーレストラン』
洗い熊Q
もう付き合って長い私達。ある日、急に彼が私を食事に誘ってきたのだった。
『今日子の観覧車』
緋川小夏
50歳の誕生日の朝。長門今日子は家族と喧嘩して自宅を飛び出し、蒲田まで来てしまった。久しぶりに訪れた蒲田の街で一人食事をしたり、買い物をしたりしながら、傷心だった今日子は少しずつ元気を取り戻してゆく。やがて今日子は、かつて自分を癒してくれた思い出の屋上観覧車と再会する。
『観覧車の下で、会いましょう。』
間詰ちひろ
入院中の祖母にお願いをされた春菜。封筒をある人に届けてほしいと言う。待ち合わせ場所は幼い頃になんども祖母と遊びに行った屋上遊園地だった。屋上遊園地で待ち合わせの時間にやって来た男は意外な祖母の過去を話しはじめた。
『おばあちゃん、故郷に帰る』
永佑輔
盆休み、四十路未婚の翔子が実家に寄ったら死んだはずの祖母がいた。と思ったら自分が死にかけており、祖母はお迎えで、妹が産む赤ん坊と引き換えにあの世に行くのだと言われる。翔子は代々生まれ育った蒲田の景色を目に焼き付けてからあの世に行こうとする。ところがお迎えは祖母の勘違いで……
『mémoires』
川瀬七貴
幼い私は、両親から見放され、血の繋がらない叔母の元へ預けられる事となった。住み慣れた名古屋を離れ、向かった先は、東京、蒲田。見知らぬ叔母と見知らぬ地が与えてくれたのは、可変と不変。これは、自分の心が変わっていく事で、変わらず受け入れてくれる人と場所を手に入れた、私のメモワール。
『街を見下ろす屋上で』
柿沼雅美
蒲田で婚活相手にビミョーな気持ちにさせられた友人の話を聞いた翌日、英里は姉の住む蒲田のマンションへ向かう。新しくなりそうで昔ながらの街には、地に足のついた人たちの幸せそうな生活が見えた。
『雨の種を鳴らして』
もりまりこ
<天神屋デパート>の百合子さんは、屋上で園芸店<グリーン・サム>を営んでいる。サラダショップにバイトで入った時から、お世話になっていたわたしは、ある日彼女にこう言われた。「ちゃんと泣きなさい」って。「泣かないと突然こわれるわよ」って。わたしは1年前に大好きな透を失ったばかりだった。
『最後の二人』
坂下泰義
アイドルグループ「のっぺらぼっちゃん」は五人組だったのに、三人が脱退し、サキとイズミの二人だけになっていた。デパート屋上での営業ライブを終えた二人は、居酒屋で出会った那須さんというおじさんの言葉に影響され、腐りかけていた心を取り戻し再びアイドルして活動していく決意をする。