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『ファミリーレストラン』洗い熊Q

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 もう付き合い始めて7年。
 私と年上の彼は。
 もう初めの頃の浮ついた感情なんてない。
 日常を一緒にいる。それだけ。
 いることが当たり前で、もう空気のような存在だなんて都合の良い言い訳。
 もう言わなくていいかなって思う。 いい加減に新しい展開、新しい感情を求めても誰にも怒られない。
 ううん、求めないと逆に怒られる。
 周囲から「もう、そろそろだろ?」って話も言われなくなった。諦められてるって事かな。
 でもつい、大した事じゃない出来事で期待してしまう。望んでいる自分を改めて気付いてしまう。
 皆が思っているほど、私は諦めてなんかいない。

 
 互いに仕事は忙しい。事務業の私に、管理業務の彼。
 週二日の公休も、付き合い始めの頃は合わせてくれていたけど。最近は業務優先。通常は週一、偶に週二に休みが合うだけ。
 長い連休だなんて、ここ数年も取っていない。
 私も正直、合わせる気持ちがない。業務優先、他者様優先。すれ違いが別れの原因でした~だなんて、どっちもどっちの言い分。
 その唯一の休みでも、最近は近場での日用品の買い物。あって大きな駅前での趣味な買い物。そのついでに外食程度。
 バリエーションなんてない。どっちもお酒を外で呑むって習慣がないのも原因かも。
 それをつまらないと思う反面、それが普通だと安堵しているささやかな幸せな気持ち。本当は、ただ怖いのだけかも。
 一回壊したら、もう元に戻れないって。

「今日、どっかに食べに行かないか?」
 彼が突然に家に訪ねて来て、そう言った。
「……えっ??」
 連絡もなく彼が訪ねてくるのは驚かない。一時は半同棲生活だったし、私が居なくても怒る人じゃない。
 ただ今日の夜は絶対に来れないと分かる日。大抵に夜半まで仕事をしているから。
 来ただけでも驚きだったけど、急にどっかに食べに行こうと言ったのはもっと驚きだった。
「どうしたのよ、仕事は?」
「早くに終わったんだ。都合が悪い?」
「いや、大丈夫だけど……」
「そう」
 そう言って彼は部屋に上がらず、玄関の上がり口に座り込んでいた。「直ぐに行きたいの?」と私は聞いた。
「まあ……行けるなら」

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