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『街を見下ろす屋上で』柿沼雅美

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「蒲田? なんでまた」
 私が言うと、理香は、でしょー、と言ってシフォンケーキにフォークを突き刺した。
 大学を卒業して月に1回のペースでの女子会という名の報告会を始めてもう軽く10年以上たっている。私と、理香と、里美と、みちるの4人で会っては近況報告をしながら甘いものとお茶を飲んで何時間も話す。
「そもそもそこだよねー、初めてのデートって言ったら、恵比寿とか池袋とか? 青山とか銀座までは言わないけどさぁ」
 理香はそう言ってため息をついた。
「今回の婚活はどんな人たちの集まりだったの?」
 みちるが聞くと、それ重要〜と里美も言う。
「聞いて聞いて! 会自体はほんとよかったの! いわゆる商社マンっていうやつ? 上場企業の人ばっかりで」
「あれ、理香って自分でバリバリやってるフリーランスタイプがいいって言ってなかったっけ?半年くらい前かあれ」
「あぁ、うん、そのときはそう思ってたんだけど、英里見てたら大変そうだなぁって」
 私のせいかい、と突っ込むと、せいって言うんじゃなくってーと理香が言い直す。
「だって、仕事で夜すっごく遅くなったり、いつ仕事が入るか分からないから予定入れずらそうでしょ? それになんか専門的すぎると話聞いても何も言ってあげられないし」
「あーなるほどねー。たしかに私が、イラスト業界の話してもイメージできないって言ってたもんね」
 うんー、ごめんね、という顔で三人が私を見る。
「全然私は気にしないけど、相手が彼氏で、何をやってて何が大変でみたいのが分かってあげられないのは寂しいかもだよね」
 私が言葉を探して言うと、そう、そうなの!と理香がまた声を高めた。
「だから、仕事もだいたい分かって、それこそ安定してて、できれば寿退社してもいいよみたいな人いないかなって」
理香に、いないんじゃない?と里美が言ってみんなで笑う。
「で?」
「そう、聞いて聞いて、それでね、3人の人が気に入ってくれて、お食事でもどうですかってなって!」
「え、3人も!めずらしいじゃん!」
 みちるが言い、めずらしいってわけでもないでしょ、と私たちがツッコむ。
「めずらしいかどうかはいいんだけど、それで1人の人と食事することになったんだけど、住んでるところが静岡だったのね、で、東京でデートがどこがいいかなんて分からなかったから、仕事で蒲田に行くことがあるって言うから、じゃあその日でいいですよって言ったの」
 はいはい、うんうん、と頷きながら聞く。
「それでね、まぁ夜だからごはん食べるじゃない? イタリアンみたいなところで、普通に飲み物頼んで、パスタにしたのねそれぞれ」

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