『ハナ爺とボク』
高岡美幸
小学3年生の晴人はハナ爺という老犬を可愛がっていた。晴人の母は忙しく、なかなか自分の気持ちを言えない。母も本当は晴人と寄り添いたいと思いつつ、自分に余裕がなかった。そんな中、ハナ爺が亡くなってしまう。
『ワタシのかわいいネコっぽいやつ』
ミケ
高校教師の妻と専業主夫の夫が互いを思いやる姿を色彩豊かに描く。僅かな空き時間さえ仕事や勉強にあてることが奨励され、空間的にも時間的にも息苦しい私たちの暮らしに、スキマがもたらすものは?そして、題名の『ネコっぽいやつ』とは誰のことか?
『プログラミングパパの提案』
中杉誠志
あるとき娘のリン子が、「猫を飼いたい」といい出した。しかしリン子はいま飼っている金魚の世話すら満足にできない。そこで私は、プログラマーの夫に相談してみたのだが・・・
『タオルケット』
もりまりこ
タオルケットがないと眠れないハルヲは、わたしと暮らす前から闇みたいな黒猫ノアールといっしょに同棲していた。ふたりの帰りがおそくなったとき、ハルヲの匂いを感じたかったノアールはタオルケットをひとり独占しながら眠っていた。タオルケットオキュパイド事件の翌日、猫は行方をくらまして。
『ヒーローショー』
利基市場
妻子持ちの「俺」は、日ごろ娘と会話がほとんどなく、憎き「ぶりんぬ」を退治するときが唯一の娘とのコミュニケーション手段だった。この「ぶりんぬ」退治をヒーローショーに見立てるものの、これだけが自分の存在理由なのかと悩む「俺」だったが…
『おはよう』
長尾優作
夏休みに福島のおばあちゃんの家に行く事を楽しみにしていた小学一年生の良太は、両親から仕事の都合で行けなくなったと伝えられる。どうしても行きたかった良太は家を飛び出し、一人でおばあちゃん家に向かった。息子の気持ちに気付かなかった母・智子は、自分を見つめ直し……
『チーム・プレイ』
中杉誠志
「パパ、僕、野球やりたい」といい出した息子を、あるスポーツ用品店に連れていく河村。その店は、河村の高校時代の同級生・紀村の店。思い出話に花を咲かせるなかで、「燻製」というあだ名の元プロ野球選手の話題になって・・・
『父と私の優しい儀式』
間詰ちひろ
小学生の私は、いつも父と「ある儀式」を行っていた。その儀式とは「父に髪をきってもらうこと」だった。それは家族で過ごす大切な時間でもあった。しかし、私が成長したことにより、父からある提案がなされたのだった。
『虫退治』
佐藤大貴
今年の初めにばあちゃんが亡くなり、現在は空き家となっているばあちゃん家。築二百年以上のおんぼろである。おまけに、今では虫のパラダイス化が進行しており、とても人が住める状況ではない。その状況を打破すべく、虫嫌いな俺と怖いもの知らずの息子・優輝四歳が虫退治へと向かう!