○選んだ作品:
『嘘とウソ』宮沢早紀(『早池峰山の神様(岩手県花巻市)』)
○選んだ理由:
勉強不足でして、元の伝承を知らずに読ませていただきました。
「うさぎが一番かわいいからって理由で卯年って嘘ついてたんだよね」という婚約者の母親のヤバい(かも?)発言を聞いた冒頭から、ぐっと話に掴まれました。
読後には、ほっこりとした気持ちになりまして、主人公たちの未来を応援したい気持ちになりました。本文で紹介される元の伝承も、素晴らしく魅力的でした。
○自作についてのコメント:
十年ほど前の七月、何のためか雁子浜へ行ったとき、冷たい雨が降っていました。
夜も近く、道に迷い、海辺で一人、途方に暮れていたことを覚えています。
宿に戻ろうか逡巡しながら浜を見ると、雨の中、何かを海に投げる二人連れが居ました。
物悲しくも美しい、まさに赤い蝋燭と人魚の舞台だ、と感じました。
その時の感動を文章にしたものです。
できる限り「映像的な」表現を心がけました。
ぜひご一読ください。