『潮の流れに杭を打て』
赤沼裕司
(『浦島太郎』)
映像編集のアルバイトで生計を立てていた浦島は、イベント制作会社の社員・亀山と出会い、彼の仕事を助けたことで、亀山が所属するドラゴンエージェンシー社に入社する。先輩の女性社員(通称:乙姫)に淡い思いを抱きつつ、そこでの日々で、自分に欠けたものにだんだんと気づかされていく…
『Daydreamer』
澄川或香
(『安芸乃助の夢』)
会社員の昼根はどんなところでも眠れるという特技がある。その特技ゆえ、眠りを極めることとなった昼根は、ついに夢の中をコントロールできるようになる。しかし、夢の中で自分がしたことが徐々に現実にも起こるようになってきて・・・。
『M』
浴衣なべ
(『桃太郎』)
宇宙船で生活していた人類のクローンであるエミリーとシュウは、人類の受精卵である『M』を育てるために研究を続けていた。ある日、『M』の生存が難しくなったため自らの体を改造したエミリーは、『M』を体内に宿したまま一人地球に降りて、『M』が生まれるまで植物のようにひっそりと生き続けた。
『Jacks or Better』
柊野ディド
(『ジャックと豆の木』『マザーグース』『ジャック・スプラット』)
豆の木での一件以来、農業に従事していたジャックだったが、ある朝J国機動隊によって逮捕されてしまう。罪状は落下死させた雲上の城塞都市国家の市民11名に対する殺人罪だった。謎の男ジャック・ダニエル氏の助けを得ながら、ジャックはこの罪から逃れようと試みるのだが……。
『メリー、メリー、ラウンド』
井上豊萌
(『わらしべ長者』)
鹿男から手渡されたのは、かすみ草の花束だった。誰かが誰かを思いやる時、“幸せ”のバトンはどこに辿り着くのだろう。別れの予感に揺れる主人公と、かつて人だったタマシイとの、不思議な出会いのショートストーリー。
『オタクの恋』
岡本みなみ
(『かえるの王様』)
高校三年生の藤原ハジメは、何の取り柄もないオタク男子である。唯一、「藤原グループの御曹司」という事以外は。ハジメが大好きなアニメのキャラクターにソックリなクラスメイト、黒谷との恋の行方は・・・
『僕と苗』
新保結希
(『ジャックと豆の木』)
花屋「Jack’s Flower Garden」。夏のある日、穏やかな時間の中で、僕は子供の頃の夏休みを思い出し、両親の想いと昔の自分たちから娘に繋がっていく、ささやかな想いを紡ぐ物語。
『スリーピングアイドル』
柿沼雅美
(『眠れる美女』)
週刊誌の記者安西が持ってきた写真で、私は見知らぬおじさんと布団に寝ていた。でもそれは私じゃない。数年前の私だけど私じゃない。「私じゃない」というなら写真の子は一体。安西が辿り着いた宿の部屋を開けると深紅のびろうどのカーテンがほの明かりで深く色づき、幻の中に足を踏み入れた気がした。