HOPPY HAPPY AWARD11月期にご応募いただいた作品の中から選ばれた優秀作品19作品です。
『月が綺麗な夜』
坪内裕朗
彼に恋心を抱きつつも、4度のサシ飲みで何も発展せず、諦めかける私。5度目のサシ飲みでは、友達と割り切ろうと自分に言い聞かせるも、気を抜くと恋心が顔を出す。ただ、これまで心が下を向いていた私が、今日は上を向くことが出来た。
『自然な流れで、ホッピーで。』
鷹村仁
俳優になりたくて8年前に父親と大喧嘩をした。そして実家の福島を飛び出し、東京へと上京した。このまま帰らないつもりだったが、母親の勧めもあり8年ぶりに帰省する事になった。話のとっかかりになれば良いと思い、父親が好きなホッピーを送ってから帰る事にした。
『生きる意欲になり得るもの』
ウダ・タマキ
ケアマネジャーとして担当することになった安永さんは鬱傾向にあり、心を開いてくれないだけではなく、生きる意欲さえ見失っていた。安永さんが生きる意欲を取り戻すために必要なものは何か……昔から好きだったホッピーを飲むことで少しずつ変化が見え始めるようになった。
『生まれたてのアイ』
柿沼雅美
「お母さんってさ、いや、別にお母さんを責めるつもりはさらさらないんだけど、ないんだけども、毎日仏壇にホッピー置くんだよ。お母さんは飲めないし、私は家では一切飲まないから瓶空けないのに毎日毎日新しいの置くの」なんでだろうとベッドで翔を見つめる私自身も、私のことがよく分からないでいた。
『奈良町居酒屋「おゆき」』
飯川雅弘
私は59才、来月還暦を迎える。奈良町で、大学一年の頃別れたままの幼馴染ゆきこがやっていた居酒屋「ゆきこ」に偶然に入る。貧しかった学生の頃ゆきこと飲むホッピーが唯一の楽しみだった。だがゆきこは前年に亡くなっていて、そこには自分の娘と孫がいた。
『発明酒場』
佐藤邦彦
長年の研究の末、ビールティストである焼酎の割り材を発明し浮かれるMad博士。しかし、既に70年前から似たような製品が存在していると助手に知らされショックを受ける。こうなれば味で勝負だと類似製品の味を確かめる為、助手とともに近所の焼き鳥屋を訪ねるのであった。
『魔法の黒い水』
曽我部敦史
小学4年の夏休み。団地内に住む私は、角打ちのできる酒屋で将棋を指す男と出会う。男は瓶入りの黒い飲み物を『魔法の黒い水』と呼び、飲むと誰にも負けないとうそぶく。将棋の虜になった私は男に将棋を教わるようになり、大会での優勝を目指す。だが、突然、男は私の前から姿を消してしまう。
『約束の散歩』
黒藪千代
幼稚園から始まった俺と爺ちゃんの散歩。中でも一番の思い出は、小学生になって始めての夏休みの散歩だった。思い出を胸に、小学生になった息子を連れ俺は散歩に出かけた。爺ちゃんと俺の行きつけの店へ。
『目覚ましが鳴らなくて』
米田竜馬
大学を卒業し、就職して落ち着き始めた頃、珍しく父から食事の誘いがあった。父はいつも急だ。そして何故か放っておけない性格。当然、翌日の食事の誘いを快諾する。意図せず早起きしてしまった翌朝、父との思い出が浮かぶ。そして、父へのイタズラを決意する。父の大好きなホッピーで。