HOPPY HAPPY AWARD9月期にご応募いただいた作品の中から選ばれた優秀作品14作品です。
『オンリーワン』
洗い熊Q
小さい頃の思い出の中、父に言われた一言が気になっていた。結婚後の相談にかこつけて、父に言葉の真相を聞こうとした。
『ホッピーとコスモス』
星日ト奏
認知症を患った喜久恵と、その夫である守は、高度成長期を共に生き、半世紀以上連れ添って来た老夫婦。ひとり娘の文江が暮らしの中で垣間見たのは、そんな二人の思い出を語るような、ホッピーとコスモスの風景だった。
『よしゅくの酒』
福川永介
恋人との将来に悩むOLの理沙は、居酒屋「よしゅく」の常連客。そこの店主は、なぜかホッピーを理沙にサービスしてくれていた。ある日、恋人の拓(たく)実(み)とよしゅくに行くが、酔った彼は店主を突き飛ばしてしまう。やがて、店主がホッピーをサービスしていた理由が分かっていく。理沙の恋の行方は……
『ロールキャベツとハルヲさん』
もりまりこ
わたしはまた<バーバー三宅>の前を訪れてしまう。むかしから父親がわりだったハルヲさんを探すために。わたしがちいさな頃、おいしそうにホッピーを呑んでいたハルヲさんを、まだ失っていないことを確かめるために。
『青春のほろにがホッピー』
頼富雅博
生まれて初めて口にしたお酒。それはホッピーでした。時はまだ昭和50年代。私は第一志望の大学に落ちて、先の見えない浪人生でした。閉塞感のたまる生活を何とか打ち破りたくて、半ば発作的に四国の片田舎を飛び出し、夜行列車で一路東京を目指した
『戦国ホッピー丸』
風呂屋龍乃介
俺はある店に入るが、そこは戦国時代へつながっていた。三人の客にホッピーを持っていくことを頼まれるが、中には真田昌幸・信幸・信繁の武将が激論を交わしている。三人はホッピーを飲むことによって、別の道を歩む誓いをする。俺も人生を見つめ直し、進路を決めることが出来るようになった。
『かき氷ホッピー』
山咲和也
売れない俳優とその先輩。おんなじ屋根の下、毎晩のように酒をくらっては、演劇論を語る。その日もいつもとおんなじ演劇話を肴に、だけれどちょっと変わったホッピーを飲み交わしたのだった。私の人生一杯目のホッピーの思い出話。
『ホッピーな夜』
小野みふ
都内の大学院でフランス文学を専攻している、お嬢様育ちの結菜。世間知らずが災いして、彼氏と大喧嘩した翌日、行きつけのカフェに駆け込む。そこで、いつものように店主のつぐみさんに相談した帰りがけ、鮮やかなホッピーののぼり旗に誘われるように、駅前の大衆酒場に入っていく。
『デュッセルドルフへ行け』
室市雅則
ビールの本場・ドイツのオクトーバーフェストにホッピーを出展することになった我が社。しかし、必要条件のためのホッピーが一本だけ足りないと現地から連絡が入った。白羽の矢が俺に立ち、「デュッセルドルフへ行け」の命を受け、俺は一路デュッセルドルフへ飛んだ。