HOPPY HAPPY AWARD9月期にご応募いただいた作品の中から選ばれた優秀作品14作品です。
『100本ホッピー』
黒藪千代
「元ちゃん丁度100本だよ!」店長の坂下さんがカウンターの中で焼き鳥の煙にまみれながら言った。1年間でちょうど100本目のホッピーを飲んだ日に奇跡が起こるという。
『とりたてて変わったことのないある一日の午後から夜にかけての出来事』
佐藤邦彦
休日の午後、妻からニラを買ってくるよう命じられた私はスーパーへと向かう。スーパーでニラと焼酎を買って帰宅すると、もう一度スーパーへの買い物を命じられる。なんの事件も落ちもない、そんな私にとっては極々普通の少しだけ嘘を含んだ一日の話。
『ニッポン対セネガルの夜』
義若ユウスケ
平成三十年。ロシアワールドカップ。ニッポン対セネガルの夜。ぼくはガールフレンドと一緒にテレビで試合を観戦している。白熱の戦いをうつすテレビのよこには侍のオバケがいて、からっぽの瞳でぼくらをみつめている……
『夢で逢いましょう』
サクラギコウ
僕のジイちゃんは83才になるがキャバクラ通いに夢中だ。水曜日になるといそいそと出かけていく。今日は雪になりそうだ。母に頼まれた僕は後を付けることになった。
『酔って候、撮影禁止』
サクラギコウ
亡き母の新盆が迫っていた花火大会の日、マンションの管理人である笠原は、ひとり屋上で酒を飲みながら花火を見ることにした。住人は立ち入り禁止場所だ。そんな笠原を監視するかのようにドローンが現れ、酒を飲んでいる写真を撮られてしまう。焦った笠原はドローンの持ち主を探し始める。