LOVE KAMATA AWARD第2期にご応募いただいた作品の中から選ばれた優秀作品20作品です。
『商店GUY』
微塵粉
夢に破れた中年フリーターの富和哲平は、ひょんな事から商店街のヒーローとなった。主な任務は店の宣伝。敵と闘うわけでもない。ダサくて地味なヒーローは、何を思って街をゆく。頑張れ僕らの、商店GUY!!
『美しい人』
村崎えん
高校生のアサミには大切な友達がいる。商店街の本屋で店番をしている「マミちゃん」だ。母親よりも年上のマミちゃんは、アサミを子ども扱いしたりしない。だからアサミも、マミちゃんとは対等でいられると感じていた。だけどマミちゃんには、アサミの知らない秘密があった。
『わたしとあなたが還る場所』
矢野李佳
ミチは29歳の美容師。そろそろ恋人との結婚や、キャリアアップを考える年齢だが、どちらにも今ひとつ踏み切れない。そんなある日、ミチは恋人に彼の思い出の地へ誘われるが、そこはミチもよく知る場所だった。蒲田を舞台に、人々をつなぐ絆とは何か、町の持つ力とは何かを問いかける物語。
『お弁当の隙間』
黒藪千代
高校生になった娘の理沙の笑顔が少なくなった事にぼんやりと不安を感じていた美和子。毎日のお弁当作りにも苦戦していた。自分が高校生だった頃に祖母が作ってくれたお弁当。そこに入っていた商店街のお惣菜を思い出し、もう一度理沙の笑顔を見る為に祖母のお弁当を求めて商店街へと自転車を走らせた。
『この街に在るもの』
公乃まつり
2年間の蒲田勤務を終えた主人公藤島の新天地は青森県青森市。気持ちのよい自然、静かな夜、美味しいごはん。住み良い環境の中、念願の東北勤務のはずなのに、何かが物足りない。そんな時、東京勤務時代の同期が青森に遊びにやってきた。
『マジックアワー』
もりまりこ
弟の七生とわたしは双子だった。蒲田のデパートと商店街が小さい頃の遊び場だった。屋上でグリーンショップを経営している百合子さんがふたりを育ててくれた。いつだったか七生がアーケードを見下ろしながら、彼は<エアカメラ>と名付けたふしぎなあそびをおもいつく。
『蒲田メリーゴーランド』
新野哲也
栗山が50年ぶりに蒲田へ帰ってきた。同級生の須田を訪ねて、シングルマザーの明子と出会う。栗山は余命一年で、多摩川の夕陽が見えるマンションで余生を送りたいという。須田と須田の女房、同級生の植村らは一計を案じて、栗山と明子親子を東急プラザ屋上の「かまたえん」に招く。
『左手婆ちゃんと魔法の杖』
秋之ノリ
蒲田で小学時代を過ごしたある指揮者。彼は町内合唱団で試行錯誤しながら皆をまとめる婆さんと出会う。発表会で指揮者を任せられるが、発表直前に飴を喉につからせて意識を失う。その時、欠席した婆さんが手を繋いでくれた体験をする。蒲田を訪れて婆さんに教えられた音楽への思いを新たにする話。
『幸せ蒲田計画』
太田純平
約十六年前、家族の父親に課題を与え、その成果を一週間で披露させる『ハッピーファミリープラン』というテレビ番組があった。その番組に出て失敗し、自分の殻に閉じこもってきた父親が、『幸せ蒲田計画』という疑似番組への出演を余儀なくされ、自分の過去や家族と向き合わざるをえなくなる。