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『幸せ蒲田計画』太田純平

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1 『ハッピーファミリープラン』

 日本に『ハッピーファミリープラン』が上陸したのは、二十一世紀の初頭である。一般家庭のお父さんに『テーブルクロス引き』『リフティング』『ピアノ演奏』等の課題を与え、一週間後にその成果を披露させるアメリカの人気バラエティ番組だ。
 日本版『ハッピーファミリープラン』は大ヒットし、ネタ切れやマンネリ化で打ち切りになるまでの約四年間、お茶の間の水曜十九時を席巻した。
 全盛期には番組のキャッチコピーでもある『ハッピー?orアンハッピー?』が流行語大賞にノミネートされたが、惜しくも大賞はお笑い芸人の猫を模したギャグ『キャッツ』に攫われた。

 それから十六年後の、夏。
 今、石橋健一というしがない父親が、自室で『諏訪高島城』のプラモデルを組み立てている。お察しの通り、彼はかつて『ハッピーファミリープラン』に挑戦した一人である。仕事は塗装業だったが、今日は生憎の天気でお休み。健一は蒲田の自宅に引き籠もり、黙々と築城を続けている。その背中と、部屋を取り囲む日本の名城の数々からは、ハッピーではなくアンハッピーが漂っていた。

 
2 ハワイ

 蒲田の東急プラザに、高校生の美和が吸い込まれていった。
 入口に用意された傘袋を取った美和の目が、ふと一枚のポスターを捉えた。
 ポスターにはデカデカと『幸せ蒲田計画』と書かれていた。どうやら、東急プラザと蒲田西口商店街の組合が合同で『幸せ蒲田計画』という企画を立ち上げたらしい。『蒲田の良さを再発見!』という宣伝文句が躍っていたが、美和の目にはポスター最下部の『賞品:ハワイ旅行』の文字しか映っていなかった。
 なんでも、『幸せ蒲田計画』の企画第一弾として、十数年前に流行った『ハッピーファミリープラン』のパロディ動画を制作するらしい。蒲田在住のお父さんに課題を課し、一週間後に東急プラザの屋上『かまたえん』で成果を披露させる。そしてその課題成功時の賞品こそ、美和が今目を輝かせているハワイ旅行なのだ。
イマドキ女子高生の美和にとって、『ハワイ』の三文字は『イケメン』の四文字よりもずっと価値が高かった。
 美和はせっかく入れた傘袋から傘を取り出して、雨の蒲田へ飛び出して行った。

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