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『幸せ蒲田計画』太田純平

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3 あの人

「ただいまー」
 石橋家に美和が帰って来た。
 キッチンに母の和子が居て、夕飯の支度をしていた。
 リビングで間食の獲物を探しながら、美和は和子に訊いた。
「あの人の生年月日いつだっけ?」
「あの人って言い方やめなさい」
 悪びれる様子もなく、ビスケットの個包装を開けて美和は続けた。
「で、何年?」
「いいかげん覚えたら?」
「日本史と一緒」
「はぁ?」
「興味無いから覚えられませ~ん」
 そうおどけて、美和はビスケットを頬張った。
「お父さんの誕生日はね、一九六七年――」
 必要な情報を得た美和はソファにダイブして、ケータイをイジり始めた。美和は父親の『石橋健一』名義で、『幸せ蒲田計画』への応募を完了した。

4 石橋家の合戦

 石橋家の夕飯の席で、東西両軍が激突していた。東軍は娘の美和、西軍は父親の健一。日和見立場に、母親の和子と中二の弟・太一がいた。
 勝手に『幸せ蒲田計画』の企画に応募した美和が、一方的に健一の口撃を受けていた。応募から数日後『幸せ蒲田計画』の運営から石橋家に『当選しました』という電話が掛かってきたのだ。
「どういう事だッ!」
「別に」
「別にじゃないッ!」
「だって」
「だってじゃないッ!」
「……」
「何故勝手に応募したッ!」
「だ・か・ら」
「だからじゃないッ! 何故何の相談もしなかったッ!」
「これから相談しようと――」
「相談と応募の順序が違うだろッ!」
「だって引き籠もりじゃん」
「なにッ!?」

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