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『この街に在るもの』公乃まつり

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「それでは、藤島くんの今後の活躍を祈って!乾杯!」

蒲田の居酒屋の一角で、俺の送別会が開かれた。居酒屋でさえ喫煙場所が区切られ始めた都内において、まだ煙たい香りがする辺りが蒲田の居酒屋らしい。
元々、俺は東北エリアの採用だった。その俺がどうしてここ、東京は大田区の蒲田にいるのかというと、その年から採用されていた研修システムの一環として、2年間の東京勤務という制度ができたからだ。
採用されたエリアに新しい風、新しい視点を取り入れるために試験的に導入されたシステムだそうだが、都会になんて行きたくなくてエリア勤務のあるこの会社を選んだ俺にとっては大きな誤算だった。

人が多くて、家も狭くて、物価も高くて。
どう考えたって、東京は人間の住む場所じゃない。
来る前はそう思っていたし、東北エリアに戻る事が決まった今も、どこかホッとしている。ホッとしているはずなのに、少し寂しい気分になるのは2年間、楽しい事もそれなりに多かったからだろうか。

トイレを済ませてお店の外に出ると、見知った顔が見当たらなくなった。
まだまだ賑やかな蒲田の街を見渡すが、会社の人達の姿は見当たらない。
「あれ?主役なのに3次会に行かないの?」
そう話しかけてきたのは東京エリア採用の同期、当麻だ。人当たりがよく、かつ濃やかな気配りもできるやつで、今回の送別会幹事も2次会まで卒なく問題なくやり遂げたし、仕事でもかなり評価されている。少なくとも蒲田、いや東京エリアの中でもエースという評価がついているだろう。
「トイレ行っている間にみんなどっか行っちゃったみたい。ま、でも元々俺、飲み会の場ってそんなに得意じゃないからいいんだけどね」
普段大人しめで、飲み会と行っても端っこにいるだけの俺だ。主役を置いてスッと解散するなんて、そこを気遣ってくれたという見方もできる。というか、そういうことにしておきたい。
「じゃあ俺とサシ飲み、付き合ってよ!幹事だからさ、あんまり食べてないんだよね。お腹空いてきちゃったし、飲み足りないし」


断る理由もなく、当麻がお気に入りらしい居酒屋へ連れられて入った。

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