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『この街に在るもの』公乃まつり

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店内は狭く、店員と客の距離が近いタイプの居酒屋だ。常連らしいおっちゃんがカウンター越しの店主と親しげに会話をしていた。
たまたまカウンターの2席が空いたので、当麻と二人並んで座った。
当麻は慣れた様子で生を二つともつ煮、そして焼き鳥の盛り合わせを注文した。3軒目の頼み方には見えない。よっぽどお腹が空いていたのだろうか。

「では、藤島の門出を祝って!」
カチャンとジョッキを合わせて飲むビールは、もう何杯目かなんて分からないのにとても美味しく感じた。気遣わなくても良い同期と2人きりになったからだろうか。限界効用逓減の法則はどこにいったんだろう。
「ところでさ、青森のどこの勤務になるの?」
「青森市。青森県の真ん中くらい」
「ふーん。俺さ、東北ってちゃんと行った事ないんだよね。仕事で仙台にちょっと寄った事あるくらい」
「俺も青森はあんまり行った事ないよ。元々出身、宮城だし」
「遊びに行くからさ。おいしいごはんと、あと東北美人の紹介!準備しておいてよね〜」
「いや、ごはんはともかく……お前じゃないんだからさ。紹介できたらしてやりたいけど期待しないでおいて」
「とかなんとか言って、藤島って陰ながらモテるタイプだと思うんだよね〜。なんていうか、結婚したら一筋でいてくれそうっていう誠実さがにじみ出てるっていうか」
「でも青森だぜ」
そう言って俺はふと、大学時代の仲間内にいた青森県の津軽側出身の友人を思い出した。女子は大抵、お酒も会話も強いイメージ。関西の子とはまた違う強さを持っていた。それに津軽側は何より……
「まず言葉が通じ合えるかどうか……」
ぽつりと呟いた俺の言葉を拾ったのは当麻ではなかった。
「なんだにいちゃん。青森に転勤かい?」
俺の左隣に座っていた中年の親父が声をかけてきた。少々くたびれてはいるものの、ワイシャツを着ていることからサラリーマンだろう。
「そうなんですよ!こいつ!今度の4月から青森に行っちゃうんです」
当麻が持ち前の人当たりの良さを発揮して、会話に割り込んだ。
「言葉ってことは津軽だな」
「はい、青森市に行くんです」

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