小説

『羅刹の子宮』柘榴木昴(『羅生門』)

「なあああにするんじゃあああああ!」
「ぎゃあああ!」
 母さんは蘇生するなり這いずりながら悪鬼のごとき形相で僕に掴みかかってきた。やはり母さんは母さんだった。僕は殴られながら泣いた。涙は暖かく、目尻りの傷にいやに染みた。電話の向こうで大原さんが心配そうに呼びかけてくれていた。

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