『二十で勝てる』
中杉誠志
【「20」にまつわる物語】
千五百ドルを懐にカジノに入った男。ブラックジャックで勝負をし、一時は五千ドルまで持ち金が膨れ上がるも、あれよあれよと言う間に残り八百ドル。そのとき配られた札の合計は二十。そこで男は勝負に出るが・・・
『20年目の暴走』
佐藤邦彦
【「20」にまつわる物語】(『美女と野獣』)
魔王ボブバに攫われたミルマ姫救出の為、勇者ラスンが魔城ソドムへと向かう。ラスンの行く手を阻むボブバの手下達。激闘に『見せかけた』数々の対決を制したラスンがついにボブバとの最終決戦に挑む。が、物語は思わぬ方向に……。
『女の子の病』
利基市場
【「20」にまつわる物語】(『少女病』)
私は今日、二十歳になる。電車で毎日のように私のことを見つめてくる先生は、きっと今日から私に魅力を感じなくなる。彼の瞳。その色は、少女の私を愛している。私はそれを、知っている。だから、今日、私は死んでしまう。
『はたちの狐』
網野あずみ
【「20」にまつわる物語】(『狐の嫁入り』)
高校生の僕は、心に残る写真を撮ることを願い、夏休みを利用して旅に出た。そして行き着いた山奥の稲荷神社でひとりの老女と出会い、不思議な体験をする。狐の嫁入りを見てしまったのだ。果たして狐に化かされているのか、そこにはどんな過去があったのか。
『Re:桃太郎』
津田康記
【「20」にまつわる物語】(『桃太郎』)
「これで20回目か…」川の流れに揺られながら、桃の中で赤子の桃太郎は呟いた。おとぎ話、サイバーパンク、ラブコメ、ミステリーなどなど。形を変えながら何度も繰り返される鬼と対峙する世界に、桃太郎は驚きつつもワクワクした高揚感を携えながら立ち向かっていく。
『まんじゅう二十個食べる、めっちゃ怖い』
ノリ・ケンゾウ
【「20」にまつわる物語】(『饅頭こわい』)
目が覚めたら、密室だった。部屋の中には五人。しかもこの中の誰か一人はこれから死ぬのだという。田邊がそう言った。密室を抜け出すには、この五人でまんじゅう二十個をすべて平らげなければならないそうだ。その中に一つ入った呪いのまんじゅうを引いたものが死ぬらしい。なんだそれ、めっちゃ怖い。
『名前って、ふたつ以上の鐘の音』
入江巽
(『ラムネ氏のこと』坂口安吾『赤と黒』スタンダール)
フランス人の父と、日本人の母の子、田中ジュリアンは、ある事情があって、自分の本当の戸籍名を隠して生きている。生まれたときから否応なしに与えられる、名前というものに翻弄されたこの男、すこしすねたまま、大きくなってしまった。
『僕の恩返し』
大森孝彦
(『鶴の恩返し』『浦島太郎』『わらしべ長者』)
父の秘書。不思議な女性で、何代も前から仕えている鶴子という女性。その正体は、鶴の化身であり、正体を見てしまったため、姿を消してしまう。昔話は事実であったのかと驚くとともに、彼女にあやまりたい少年は、浦島太郎の昔話を利用し、鶴へと変じ、彼女を追いかけたのでした。