『花嫁の便り』
倉田陸海
【「20」にまつわる物語】
大学二年生の幸樹はある日、着信音が鳴り止まない公衆電話を見つけて受話器を上げる。電話に出た謎の女性に「一人の特別に可愛い女の子を守ってほしい」とお願いされるが、頼りになるのは電話の女性が送ってきた二十円だけで……。
『雨の子供と午後3時』
もりまりこ
【「20」にまつわる物語】
雨の降った後の窓をみている嵐といたづらにページをめくる雫。嵐は、そんなことちゃちゃと済ませようって事も無げにいう。でも雫はここから立ち上がってゆく決心がつかなかった。きっかけが欲しかった雫は言った。窓辺の雨粒を数えてみてって。
『ネームバリュー』
竹内知恵
【「20」にまつわる物語】
現在26歳の社会人である川村千寿の名前は、姓名判断で凶とされる総画数20 画である。彼女は小学生でそれを知って以来、何かにつけ自分が悪運であることを思い出してしまう。しかし、とうとうそんな後ろ向きな思い込みから脱出する糸口が訪れた。
『小さな川の出口』
菊武加庫
【「20」にまつわる物語】
二十歳で初めてかけた眼鏡は「わたし」を変えるきっかけになった。視力だけでなく心を守る道具になっていく。そのころ自分によく似た地味な同級生とつき合うことになるが……。
『20年前のおやつの時間』
岸辺ラクロ
【「20」にまつわる物語】
天気のいい三月の晴れた日に、迷った挙句「彼女」にデートを申し込み、新宿御苑に向かった。彼女は絶対に断らない。財布には一万五千円が入っている。なぜなら「彼女」は一時間7000円だから……
『ボクと小さな本屋さん』
鈴木沙弥香
【「20」にまつわる物語】
恋って一体なんでしょうか?恋をしたことのないボクは、小さな本屋『twentieth days』で働きながら、アラフォー店主の香菜さんと、雨の日にしかやって来ない中学生の紗枝ちゃんに恋心を抱くようになる。だがある日ボクは知ってしまう。
『間奏曲・平成』
糸原澄
【「20」にまつわる物語】
「失われた二十年」と言われた世代の中で青春を過ごした聡。幼馴染の翔一が結婚することが寂しくて仕方がない。銀座から荻窪まで四十分間のタクシー漂流の中で、一つの時代の終わりを感じた聡は新しい明日を生きようと思う。
『バーチャル老師』
津田康記
【「20」にまつわる物語】
遊助はサボリーマン生活20年目のベテランだった。そんな彼に上司はクビを取り消すことを条件に、サボりを解消する新サービスの被験者になるよう取引をもちかけてくる。転職できるほどのスキルも実績もない遊助は、20日間のあいだ、しぶしぶバーチャルトレーナーと一緒に過ごすことになるのだが……。