7月期優秀作品発表
全文公開中
Earth Act For Life AWARD7月期にご応募いただいた作品の中から選ばれた優秀作品17作品です。
『遠くの夏まで』
菊武加庫
平和な家庭だが、夫はなぜか肝心なときにいない。予知したようにいつも面倒を避ける夫が思いもかけず単身赴任になるのだが…… 。
『ミルクに溶けて』
音華みつ
学生の結菜はクラスで友達と上手くいっていない。悩んでいる自分を見て家族に心配してほしくないと思い、いつも通り明るく振る舞う。だが、家族には結菜が悩んでいることがお見通しだった。悩んでいることを知っていて何も言わず、見守ってくれていたとわかり、結菜は前を向き始める。
『ぼっちが似合うね、梶山君』
もりまりこ
独り暮らしの梶山は、ある日アマゾンの村で暮らすドキュメンタリーを夜ごはんを食べながら見ていた。青年がはじめての日本語をまねる声。ヒトリグラシ、アサゴハン、スゴイネ。そしてコドクって何? って訊ねる彼を真似て梶山もこどくってなに? と独りごちながら、夜のしじまは溶けてゆくけれど。
『ペトリコール』
結城紫雄
出版社に勤める「私」は夫と小学3年の息子と3人暮らし。いびつな男女比の共同体で、ふたりの「男」が今日も私を振り回す。
『一枚の半券』
小林央
主人公とその妹(福根ひより)の姉妹は、亡くなった父(福根歩)の荷物を引き取りに父の会社を訪れる。家族で唯一父の最後を看取れなかったことを悔い、父に愛されていなかったのではと思い込んでいる主人公。しかし父の荷物から出て来た一枚の半券が、父の本当の想いに気付かせてくれるのだった。
『お団子』
多田正太郎
仏間に、差し込む、月光。ススキ、お団子。シンプルだが、この影法師。お月見、この夜だと、すぐ分かる。特別なものだ。孫たち、娘、妻。家族で歌う、歌声が。ベランダから、流れる。その歌声が、だんだんと遠のく。さようならー。ありがとう、な。さて、そろそろ、旅立つ、時だな。
『リンゴアメ』
中川マルカ
図らずも、死んでしまった青森カーマ。この世にのこした愛する夫と娘を思いながらも、理不尽な「神様」に言われるがまま、財産を捨て、名前を捨て、いざ天国を目指す。迷い多きカーマの前に、果たして、天国の扉は開かれるのか。
『ワンフォーボーズ! ボーズフォーワン!』
永佑輔
治療のためにツルツル頭になった照子は、恥ずかしくて登校できないでいる。双子の弟は姉を思い遣り、登校できるようにして欲しいと懇願。照子とイイ感じになりたい飴野は、クラスメイト全員ツルツル頭になろうと提案。しかし真里亜が猛反対し、クラスを二分する選挙戦に発展して……