7月期優秀作品
『お団子』多田正太郎
秋虫が鳴いている。
秋が、好きだ。
♪ あれ松虫が 鳴いている
ちんちろ ちんちろ ちんちろりん
あれ鈴虫も 鳴き出した
りんりんりんりん りいんりん
秋の夜長を 鳴き通す
ああおもしろい 虫のこえ
こんな童謡が何処からか・・。
そんな感じが確かに。
仏間に、差し込む、月光。
これが、何とも、いい。
十五夜には、ススキ、お団子。
シンプルだが、この影法師。
お月見、この夜だと、すぐ分かる。
特別なものだ。
輝く月、見上げ。
そんな夜も、悔恨の、シーン。
それと、切り離せない。
なぜ?
一言で、言うなら。
己の、愚かさ。
それと、結びつくから、だ。
今更、だが。
そう、今更、なんだよ。
今更、今更、今更。
なんていう、言葉、なんだよー。
悲しく空しい記憶。
それと結びついた、言葉。
たった二文字の、今更。
もすこし早ければなぁ。
これとも違う、ああ、違う。
今になって、何を言っている。
これとも、違うなぁ。
今ごろになってよ。
これでもない。
今となっては遅い。
ああ、これに近いかもなぁ。