「えっと、園田さん、だよね。このサークルでやっていけそう?」
サークルの活動が終わってから、例の女子に話しかけた。声をかけるのは勇気がいったが、なんだか気になってしまっていた。
「たぶん大丈夫だと思います…」
「そう? 困ったことがあったら言ってね」
「ありがとうございます」
ぼそぼそと自信なさげに応えた。
「あさぽ~ん、一緒に帰ろお」
遠くの女子二人に声をかけられ、彼女はびくっとした。
「す、すみません、また次の活動で」
「あ、うん、気をつけて」
慌てて二人の元へと駆け寄る。まるで下僕のようだった。
「よっしーちゃ~ん、あの子が気になってんのお?」
サークルのメンバーが茶化してくる。
「うるせえ。違うわ。なんかさっきの子すげー暗い感じだったから気になっただけ」
「あー、確かに。なんか友達同士って言ってるけど、絶対違うよな、あれ」
近くにいた坂本が同意した。
「俺も気になったんだよね。このサークル飲み会多いし、ちょっと不安だわ」
坂本はこのサークルの良心かつ、次期サークル長だ。この治安がいいとは言えないサークルで、真面目に活動に参加し、サークルの参加者にも気を配る。さすが教師の卵。教育学部の首席は人格者だ。坂本が昔の俺の担任だったらどれだけ良かったろうとつくづく思う。
「坂本もそう思う?」
「うん。あの子、園田さんって名前だったよな。明日の飲み会に来てくれたら、話聞いてみようかな。清原も気にかけてあげて」
「え、俺も?」
「だってお前、気になったから声かけたんだろ?」
ひとまず明日の飲み会で坂本が園田さんの隣で様子を見て、俺は坂本の隣の席に座ることにした。