沢子もきっと同じ想いでいてくれた。そう信じられる至る時間を僕たちは過ごして来たのだから。
今回この動画を機に映画製作への道へと満身したいと思います。いや絶対に行きます。
これは僕の決意表明であり、そして生きている間に伝える事が出来なかった沢子への贈る言葉です。
皆様、最後まで御静聴を有り難う御座いました。
そして皆様、これから僕が創り上げていく作品達を是非に御覧になって下さい。
どうか、どうかよろしくお願い致します」
――直樹はカメラに向かって深々と御辞儀をしていた。
その背後に。
仄かに揺らぐ幻の様な、彼と一緒に深々と御辞儀をする沢子の姿が映り込んでいた。
彼が初めて撮影した心霊動画は公開される事なく、監督として名を馳せた今でも大切な宝物となっていた。