『ドラマチック』
森真理
(『美女と野獣』)
美月は容姿をからかわれ、学園祭の劇で野獣役をやるよう悪意のある推薦を受ける。恥晒しだと絶望するも、孤独な野獣に共感し演技に没入していく。ベル役の華子と過ごすうちに優しさに触れるが、美しい華子と醜い自分では分かり合えないと葛藤する。二人は現実でも運命の存在になり得るのか。
『あの角を曲がって』
裏木戸夕暮
(エドモン・ロスタン『シラノ・ド・ベルジュラック』)
小学3年生の克彦は、病気の祖母が書いた手紙をポストに投函するというお遣いをしていた。祖母は亡くなり、大人になった克彦の元へ祖母からの手紙が届き始める。祖母が生前に仕込んだものだろうと考えていた克彦だったが、ある日中身が空っぽの封筒だけが届いた。祖母と孫、離れて暮らす両親の話。
『憂鬱な妊婦』
梅春
(『七夕女房』)
沙由美は悩みながらの妊活を経て、妊娠する。妊活中に先のことを考え、夫の新之助とともに実家のある練馬に移り住んでいたが、ある日、スーパーで中学のクラスメートだった奈々子と再会する。中学時代、奈々子は沙由美に対するいじめを主導したが、それは新之助の指示だったことが判明する。
破願』
桜井かな
(『鼻』)
『
『鼻』の師匠の元で働く見習いの「私」。想いを寄せる兄弟子に柿を食べたいを言われ、季節外れの柿を探しに行く。木の精霊と出会い、神木のように扱ってほしいという願いを聞き入れ、柿を手に入れる。「私」は兄弟子へ想いを伝えに行く。
『オス、三毛猫』
永佑輔
(『猫の皿』)
カフェ経営の湾子は、男性客達から神扱いされている。湾子が白と言ったら黒い物も白。猫のヌイグルミも本物の猫。湾子は自分に惚れた男性客に猫のヌイグルミを売りつけるアコギな商売を始めた。そんな折、三池が三毛猫のヌイグルミを買った。湾子は、オスの三毛猫にウン千万円の値がつくと知り……