
美香の無茶振りのワガママに、いつも振り回されている広太。ある日、花火大会の帰りに忽然と美香が姿を消した。必死で探し回った末に広太が目にしたのは、竹藪で「充電」している美香の姿だった。空っぽになった美香の心が、月とともに満ちてゆく。
10月がもうすぐ終わる冷雨の夜、少年は外で力尽きていた。しかし、彼は1人の男に助けられる。男の家で回復した少年は、そのままワンルームの家で男と同棲を始める。しかし今度は男が風邪で倒れてしまう。看病のため少年は手料理を作るが、一言告げる。「黒い布の奥は覗かないでください」と。
燃えるような恋をしたい。願いが叶い、「曽根崎心中」の舞台である露天神社で運命の人に出会う。なにもかもぴったりで、私を愛してくれる。ただ、彼には家庭があった。けれど全然構わない。障害があるほど恋の炎は燃え上がるはずだから。私は彼に駆け落ちを提案する。
とある大学の映画サークル。毎年恒例のコンクールへ出品するため撮影を開始したが、監督の十村(とむら)は映画作りの才能こそあるものの、他人を慮る気持ちは皆無の男だった。そんな十村の振る舞いに、サークルのメンバーたちは撮影が進むにつれ、どんどん不満を募らせていく。
子狐が狐の玉という人を化かす道具を寺の小僧に盗まれた。狸が現れ化けの皮を貸すから取り戻せと言う。子狐は玉を取り返したが、数日後、稲荷大明神の使いが現れ親狐は慌てる。人に玉を盗られたと咎められた親狐は玉を見せ盗まれていないと主張するが、使いは小僧で玉を奪い返されてしまった。
故郷に戻った俺は、小学校の同級会に参加した。そこで古い友人に会い、小学校時代の思い出バナシをするが、齟齬があることに気づき……。
歴史の授業中に居眠りをしてしまった天野雄大。気づけば昔の時代に来てしまい、一人立ち尽くしていた。髪が短いことから僧侶と勘違いされ、嵐の被害に肩を落とす住民に塩田事業の立ち上げを提案することになる。そこで知り合った男の話、聞いたことがあるような。事業と授業の行く末は…
震災以降前向きになれないミクは、中学3年生で受験が忙しいにも関わらず文化祭実行委員になってしまった。クラスのみんなが協力してくれないだろうと思うとブルーになるのだが、相棒のワタナベさんはやる気満々。しかも、クラスでお米を一から作って、文化祭でおにぎりを振る舞うと言う……。
彼らにとってこの場所は戦場であった。お隣で腰痛体操の集いや茶道の集まりがあっても、約五千冊の蔵書に囲まれながら将棋を指している彼らにとって、外の世界のことはあまり関係が無い。盤上没我。ただひたすら相手を打ち負かすことのみに集中している。小学6年生のプライドに賭けて――。