『ジャングル美容室』
広都悠里
この先どうやって生きていこう。オーディションに落ちまくっている私の通帳残高は2058円。目立ちたい一心で染めたオレンジ色の髪は染め直すように言われ、美容室を探してさまよい歩く私の目の前に現れたのは緑溢れる美容室だった。奇抜な形の葉に囲まれて髪を切った私は、どんどん軽くなっていく。
『彼女が髪を』
室市雅則
私の母は美容師免許を持っている。しかし、私は美容師として働いている姿を見たことがなく、今は祖母やその友人の髪を切る『白髪』専門の美容師と化している。
『ふるさと ミツ江美容室』
松本英恵
美咲は東京で就職したものの、挫折して地元に帰ってくる。そしてかつて通っていた「ミツ江美容室」にやってきた。そこで美容師の佳代と、佳代の母で今は亡き美容師・ミツ江の思い出話をする。その中でミツ江の美容師としての姿勢に触れ、美咲は仕事への情熱を再確認する。
『いつもの席で』
どらやき
何もない街に突如現れた⼈⽣初めての⾏きつけ「VOGUE」ジュンさんと過ごした時間は僕の⻘春の中⼼軸だった。いったい何年経っただろう。その⽇、僕は東京からこの街へ帰省した。忘れていた思い出が蘇り始める。
『不愛想な美容師』
塚田浩司
隆志は「髪を切ってもらえばモテるようになる」と評判の美容室に行く。しかし美容師から「帰れ」と追い出されてしまった。隆志は翌日そのことを職場の先輩に相談する。そこで「かっこいい」の意味に気付かされる。そして一年後また例の美容室に行く。
『こだわり?の髪型』
真銅ひろし
いつも髪をカットしてくれている美容師さんが、怪我で急遽お店に出られなくなってしまった。特に自分ではこだわりのない髪型だと思っていたが、この事態に軽くパニックになる。こだわりがないと思っていたのに、大いにこだわっていた事に気が付く男性の話。
『まだあげ初めし前髪の』
間詰ちひろ
高校三年生の島崎宏美は、授業中居眠りばかりしている坂口亮平にうんざりしていた。しかし、坂口の居眠りには訳があった。夜遅くまで美容師になるための勉強をしているからだという。それを聞いた宏美は驚きつつ、坂口を見直すことになる。
『伸びた髪の毛は』
海未野灯
営業として働く宮本結月は、いわゆる「美容室難民」だ。予約サイトで見つけた美容室を転々とするものの、しっくりくる美容室が見つからない。そんなある日、結月は同期の里奈から「絶対に変われる」という美容室の噂を聞く。教えてもらった住所を頼りに坂道を上った先には……。
『ずるい女たち』
後藤由香
失恋したチカは、気分転換に髪を切ることにした。美容室を予約して訪れたものの、お店の手違いで待たされることに。そこでチカは失恋の原因となったマナミに出会う。気まずい二人は暇を持て余し会話を始めるが、意外な方向に行く。