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『こだわり?の髪型』真銅ひろし

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 何てことはない短髪。社会人になったら髪型にこだわりがなくなって来ていた。一般企業の営業に勤め、相手に好印象を持たれるように清潔感のある髪型にするようにしていた。
「いつもな感じで。」
 もう、10年くらいは同じ注文をしているし、10年間同じ人に切って貰っている。その美容師の方のお名前は朝見さん。30代半ばくらいの女性。
「・・・。」
 黙ってても気まずさもなく、切りすぎもせず、切らなさすぎでもなく、丁度いい仕上がりのしてくれる。

 「ちょっと伸びたな・・・。」
 洗面台の鏡を見て不意に髪の長さに気になる。スマホで美容室にネット予約を入れる。もちろん担当者は朝見さん。
 社会人になって初めて切って貰ったのが朝見さんだった。
 どんな髪型がいいか確認したら、それから黙々と切る。こちらもさほど会話が得意ではないので雑誌をずっと見る。そしてたまに鏡を見て進行具合をチェックする。
「どうですか?」
 切り終わって確認をする。
「もみあげをもう少し切ってもらっていいですか。」
 気になる所を指摘して、切ってもらう。
「どうでしょう?」
 再度確認。
「はい、大丈夫です。」
「ありがとうございます。」
 業務的な会話で終わり、世間話みたいなものは一切しなかった。
 これから十年の付き合いだ。

 仕事が終わり、帰宅中に電話が鳴る。
「・・・誰?」
 見知らぬ番号からの着信。出ずに留守電に切り替わる。誰だろうと耳に当てて内容を聞いたら、相手はいつもの美容室だった。急いで出る。
「はい。」
「あ、幸野さんですか?」
「そうです。」
「いきなりお電話してしまってすみません。今、お時間よろしいですか?」
「はい・・・。」
 少し美容室の人の声が申し訳なさそうだった。

 どうしようか・・・。
 自宅のソファーに腰かけ、スマホを目の前に置き、悩む。
 美容室に行くか行かないか?こんな事は初めてだ。いや、この10年間何もなかったのが不思議なのか。
 朝見さんが腕を骨折してしまった。治るまで2カ月位はかかるとの事だった。
「代わりの者で対応いたしましょうか?」
 美容室からの電話はその連絡だった。

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