『画期的な発明』
拓斗
高校三年生の沙希は第一志望の大学受験の日、落ち着きをなくしているところ、母から試験に役立つアイテムを渡されます。そのおかげか冷静を取り戻し無事試験は終了するのですが、帰り道不思議な光景に出会います。
『妄想彼氏』
ウダ・タマキ
思春期の一人娘を持つ父親。最近、髪を染めたり帰宅が遅かったりと娘の行動が怪しく、彼氏でもできたのではないかと心配で仕方がない。ある日、娘が会わせたい人がいるということで一緒にランチをすることとなるが、そこに現れたのは……。
『エアーお父さんの香り』
矢鳴蘭々海
神田あおいは部活も勉強も頑張る高校一年生。ある日、普段から性格の合わない父親への不満が爆発し、大喧嘩をして家を飛び出してしまう。不思議な社(やしろ)に迷い込んだあおいは、怒りから父親の顔を二度と見たくないと願って家に帰ると、そこにいるはずの父親の姿が全く見えなくなってしまう。
『真冬のセキレイ』
大川タケシ
疎遠だった父の遺した、一枚のセキレイの写真。その写真は昔、ぼくが撮ろうと躍起になっていた写真と構図が似ていた。どうして父はセキレイを、ぼくと同じ構図で撮ろうとしていたのか。父の足跡を追って旅をしながら、不仲のまま死に別れた父の心境を想う。父は、ぼくに何を伝えようとしたのだろうか。
『風が吹いた、』
三波並
古本屋の店主だった祖父の死をきっかけに、その孫娘とバイトの青年は家族になった。古本屋を継いだ二人の何でもない日常には、家族として暮らしていく「今」と「未来」が散りばめられている。
『トイレは鬼の愛』
山本
棚の奥に置かれた商品に同情する紗希は、いつも一番後ろの商品をかごに入れる。それは自分がこれまで置かれてきた立場と同じだった。過去から逃げるように、これまでとは違うブランドの日用品を揃える紗希。でもトイレの芳香剤だけはどうも同じものではないと落ち着かなくて……。
『ゾウガメを探せ!』
岡田京
桃花は高校二年生。母子家庭で大学進学を希望している。夏休みのある日、泉動物公園のゾウガメのモッシーが逃げ出し、捕獲者には五十万円の懸賞金が出ることに。竹藪でモッシーを見つけた桃花は、その甲羅に触れ、三歳の時に亡くなった父のことを思い出す。父の思いを胸に、夢に向かって歩き出す。
『夏休みの宿題』
麻ひろ美
離婚を機に、仕事復帰をしてがむしゃらに働いていたものの、心身共に悲鳴をあげて休職を余儀なくされた私。離婚してから、顧みていなかった娘マヒロとの夏休みの宿題である「読書感想文」を二人でやるうちに、気づかなかった娘の思いや、自分の今を顧みることに・・・
『お母さんのワンピース』
和智弘子
今日は小学校の参観日。わたしはお母さんが来てくれて嬉しいけれど、恥ずかしい。しかし、翌日いじわるな男子にお母さんのことでからかわれてしまった。わたしは悔しくて、悲しくて、やり場のない怒りをお母さんに気持ちをぶつけた。