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               国際短編映画祭につながる「ショートフィルムの原案」公募・創作プロジェクト 奇想天外短編映画 BOOK SHORTS

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Category 小説

小説

『二十日前から』坂入慎一

ツイート 「二十万年前、あなたに助けて頂いた鹿です」  土砂降りの雨の中、傘も差さずに深夜の公園で佇んでいた女は私だけを見つめてそう言った。  公園を突っきり信号を三つ越えた先にコンビニがある。二十日前に勤めていた工場が […]

2017/09/28
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小説

『あなたのために』霜月透子(『鶴の恩返し』)

ツイート  女が生えている。  最初なぜかそう思った。酔っていたからかもしれない。  理由はともかく、自宅マンション前の植え込みにその女の姿が見えた途端、そう思ってしまったのだ。  出張で近くまで来るという旧友と飲んでい […]

2017/05/01
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小説

『クリムゾンラビット』渡辺たかし(『かちかち山』)

ツイート 僕の嫌いなもの。狭い空間。ガスの匂い、ほこり、縄・・・家族。 簡単に言ってしまえば、この世の全てのもの。 そんなことをボーっと考えていると、僕のおなかに強烈な打撃が入った。 九の字になって膝をつく僕。父親は固く […]

2017/05/01
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小説

『埋葬猫』山田密(『累が淵、鍋島の化け猫』)

ツイート  鍋島吾郎四十八歳です。もう随分昔だから関係ありませんけど旧姓は高橋と云います。婿養子なんですよ。妻の類は一人娘だったもんですからそれで。私の実家も隣り町で農業をやっていた伝手と云いますか、男ばかり三人兄弟の三 […]

2017/05/01
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小説

『ラプンツェルとハゲ王子』矢鳴蘭々海(『ラプンツェル』)

ツイート  太陽の光が、部屋の窓に斜めから差し込んでいる。目覚まし時計を見ると、もう十三時を過ぎていた。夜更かしのせいか体がだるい。ベッドから出て洗面台に行ったら、鏡に映った自分が女幽霊に見えて一瞬ゾッとした。 (髪…… […]

2017/05/01
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小説

『最上階の女』芹井日緒(『ラプンツェル』)

ツイート  私は今日も、窓の外を眺めていた。窓の外は雨。夕べから降り続く雨は決して止まないぞと言っているかのように、断続的に強くなったり弱くなったり。こういった降り方は、全くもって非礼だ。雨の終わりを待っている者にとって […]

2017/05/01
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小説

『銀の鱗と蝋燭と』もりまりこ(『赤い蝋燭と人魚』『浦島太郎』)

ツイート  点の上に立って、つぎの点へと石段を飛ぶように、跳んでみる。  ふくらはぎから腰、背中のあたりにとてもやわらかなばねが備わっていることを、わずかに信じて。  それをなんどもなんども繰り返す。  あの点のむこうの […]

2017/05/01
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小説

『偶景と旅する男と』もりまりこ(『押絵と旅する男』)

ツイート 「そこに好きなものを入れておくといいよ、自分のすきなものがわかるから、大きなカゴをひとつ用意すればいいんだよ  郷田の部屋には透明のガラスケースの中に詰まっているたくさんのエアメールがあって、それがもう逢えなく […]

2017/05/01
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小説

『不死鳥』桂夕貴(『文鳥』)

ツイート  タバコの煙(けむ)の先に、何か良いお話は浮かばぬものかと思った。しかし、そんなもの浮かびやしない。ただ慣れない煙草に噎(む)せ返るだけだった。文人気取りもいいとこだと、いい加減自分でも思う。  そんな私に、友 […]

2017/05/01
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小説

『楽園』西橋京佑(『桃太郎』)

ツイート  タバコの煙に少しむせそうになりながら、僕は無表情を装ってナイフを振り下ろし続けた。何かの小説で「豆腐を切るみたい」と書いてあったけど、たしかに感触なんてほとんどないんだ。あたりは灰色一色だったのに、ペンキをこ […]

2017/05/01
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小説

『タイムマシン エピローグ2』川路真広(『タイムマシン』)

ツイート  私が「時間旅行者」についての手記を発表してから、半世紀がたった。  時の流れとはなんと速いものだろう。時間は、この世のすべてを載せて過去から未来へと運び続ける。いや、逆の言い方もできる。時間は未来から絶えまな […]

2017/05/01
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小説

『奪う声』菊野琴子(『ルンペルシュティルツヒェン』『灰かぶり』)

ツイート  ふつうのひとになりたかった。愚かでもなく、賢くもない。醜くもなく、美しくもない。誰からも馬鹿にされない、誰からも妬まれない、ふつうのひとになりたかった。  前髪をのばし、眼鏡をかけ、灰色の服を着た。小さな声で […]

2017/05/01
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小説

『私刑』岩崎大(『猿蟹合戦』)

ツイート  その猿顔の男は、誰からも嫌われていた。  なによりも、その人を見下したような笑顔が、誰をも不快にした。はじめて男を見た者は、その笑顔にまず戸惑い、少しずつ怒りがこみあげる。そして別の日、男が、独りで寒そうに歩 […]

2017/05/01
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小説

『人形寺』武原正幸(『人形の墓』)

ツイート  娘の名前は弥生といった。  両親と、兄と姉、それに妹の六人家族だったが、皆病いで死んでしまった。  弥生は、九歳にして一人ぼっちとなった。  そこで、遠縁にあたる私たち夫婦に子供がなかったので、養女として引き […]

2017/05/01
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小説

『不思議なたまご』広瀬厚氏(『金色の卵』)

ツイート 「お父さん、原っぱで遊んでいて僕ね、こんなもの見つけたよ」  ある晴れた日曜日の昼前、外から帰った小学三年生の良太が父親に言う。無邪気に笑うその顔は、にこにこと輝いている。手のひらのうえ、虹色をしたまあるい物を […]

2017/05/01
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小説

『がらがらぽんの日』伊藤なむあひ(『オズの魔法使い』『トカトントン』)

ツイート  すごい音だね、と僕が言うと、叔父はどこか得意げに、そうだろう、なにせ山の上だからね、と返してきた。実際に外からはほんとうにすごい音が聞こえていて、ががん、ばだん、ぐおおおお、ばばばばばばばば昔さ、叔父は準備を […]

2017/05/01
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小説

『青い鳥』多田正太郎(『青い鳥』)

ツイート 青い鳥って、いるの? いる。 えー、いるんだー。 ああ、いるのさ。 バタバタ、バタバタ。 あつ、飛んで行ったよ! 本当に、今度はさ。 青い鳥が・・。 この話の、依頼された、リメイク話。 部屋に閉じこもり、考え続 […]

2017/05/01
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小説

『お園』阿礼麻亜(『葬られた秘密』)

ツイート  こんな話、信じてくれまへんやろなあ。  あれからもう何年になりますやろか。随分時間が経ったようでもあり、まるで昨日のことのようでもあり。  申し遅れました。わては大阪で和菓子屋を営んでおります、浪花屋の喜兵衛 […]

2017/05/01
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小説

『銀三匁』石川哲也(『かちかち山』)

ツイート  むかしむかし、奥深い山村に、佐(さ)吉(きち)という男がいました。男には女房と幼い娘がいました。男は木を切り、獣を捕らえ、貧しくとも慎ましい生活を送っていました。  ある年、大きな山火事があり、切り倒す木も、 […]

2017/05/01
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小説

『瓶詰ノ世界』北村灰色(『瓶詰地獄』)

ツイート ※或る居酒屋の廃墟で発見された、番号一から四までが紅く刻まれた、四本の大瓶。長机に整然と並んだ透明なそれらは、埃や汚れ、ひび割れ一つなく、不気味なまでに綺麗だった。以下の奇怪な文は、其々の瓶に詰められていた手記 […]

2017/05/01
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小説

『人魚とダンス』戸田鳥(『人魚姫』)

ツイート (海藻が釣り糸に引っ掛かった)  そう思って引き上げたら、人魚の死体が釣れた。  海藻に見えていたものは、人魚の髪だった。黒々と波打つ髪が青白い肌を隠すように広がり、隠しきれなかった乳房の下に棒のようなものがめ […]

2017/05/01
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小説

『すなあく』化野生姜(『スナーク狩り 8章の苦悶』)

ツイート 「あんた、『すなあく』食ってみねえか?」 隣の男にそう言われ、俺はジョッキを持つ手を止めた。 居酒屋の奥の席、週末の金曜日の夜にそこでちびちびとビールを飲む。 そんなささやかな楽しみのさなか、突如として持ちかけ […]

2017/05/01
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小説

『ひとひらの恋』和織(『桜の森の満開の下』)

ツイート  桜のアーチの満開の下で、少女は男にキスをした。ふわりと舞い降りる花びらは、月の光を受けて白く輝いていた。男には、まるで少女がそれを纏っているように見えた。少女は美しかった。男は少女に夢中だった。彼女の為なら、 […]

2017/05/01
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小説

『風とやってきた娘』宮重徹三(『きつねの嫁入り』)

ツイート  昔々、あるところに、じじとばばがおった。子供がいなかったが、二人で畑仕事をして仲よう暮らしておった。  ある夏の夕方、一仕事終えて、縁側で二人で茶を飲んでおった。 「今年の枝豆はええできですなぁ、じ様」 「う […]

2017/05/01
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小説

『子捨て山』中杉誠志(『姥捨て山』)

ツイート  赤ちゃんが、泣きわめいています。  ワンワン、アーアー、小さな体からしぼり出される、力いっぱいの大きな声が、夜の住宅街に、うるさく響き渡ります。  そんな赤ちゃんを腕に抱いているのは、若いお母さんです。あんま […]

2017/05/01
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小説

『マッチは友を照らす』朝宮馨(『マッチ売りの少女』)

ツイート  JR浜松町駅の近くに動物園の檻のような喫煙所がある。  数年前にとある理由できっぱりと禁煙できた俺は、通勤途中に檻の中の原始人たちを横目で見ながら腹の中で笑う。 (こいつら、いつまで煙を吐き散らしながら生きて […]

2017/05/01
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小説

『燃ゆ音』海老原熊雄(『かちかち山』)

ツイート 山が少女のものになった。 山の名は、”かち山”という。 人と人とがかち合う往来の場、戦の勝ち鬨を挙げる場、また、大昔に山火事があり”かじ”転じて”かち”山など、諸説あるらしいがその説の豊富さが、この山の歴史深さ […]

2017/05/01
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小説

『天狗』上原芽久美(『彦一ばなし』)

ツイート  彦一に隠れ蓑を騙しとられてからの天狗の歴史は、真っ暗だ。  まず、人間は、隠れ蓑狩りを始めた。そちこちの天狗が蓑を奪われたのだが、この隠れ蓑、簡単に作れる代物ではないのだ。姿を消せるという性質上、藁だけででき […]

2017/05/01
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小説

『桜の下を駆け抜けて』中江田江(『桜の森の満開の下』)

ツイート  梶井基次郎は「桜の木の下には死体が埋まっている」と書いた。またある作家は、「満開の桜の木の下には、狂気と冷たい虚無、そして孤独がある」のだと描いた。  そうなのだろうか。別に、桜の木の下に限った事じゃあ無いと […]

2017/05/01
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小説

『GLOW』日光一(『マッチ売りの少女』)

ツイート  静かな闇と芯まで凍えるような寒さが支配しているような月の見えない夜だった。  街を行く人々の歩みの中には今日が終わってしまう焦りと、新しく訪れる明日への期待が共存し、ただ動悸のような淡々とした足音があちこちで […]

2017/05/01
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