『明日は何色』
史香
ブラック企業に勤め、休みなく働いていた⾼梨はある⽇会社の倒産により急にリストラされ無職になる。これからどうやって⽣きていくかを悩んでいた時、近所の美容室のチラシを発⾒し向かった美容室で出会った美容師の話を聴く中で⾼梨の⼼は動かされていく。
『6位は安らかに眠り』
微塵粉
かつて床屋を愛した少年、章太郎は決断する。イケメンに憧れて、あの人に憧れられたくて。心をくすぐられるような日々。日々。日々。おやすみなさい。
『はじめまして、私』
七海茜
昔から人見知りな大学生の「私」にとって、美容室は正に苦手が詰まった場所だった。伸びた髪を切るだけの予定で美容室に来たが、担当の美容師に勧められて断れないまま一束だけ髪を染めることになる。鏡の中の自分に見惚れるくらい気に入り、寄り道でもして行こうと軽い足取りで美容室を後にする。
『もうひとつの家』
宮沢早紀
母の介助のために帰省した私は美容室へ行くが、出された雑誌は偶然にも自身が挿絵を手掛けたものだった。美容師との話を通じて、雑誌を母が持ち込んだことや知らない母の一面を私は知る。髪が仕上がる頃には、母にとって美容室がもうひとつの家のような存在だと私は気付き、母の介助に前向きになる。
『私と美容院とライフ』
栗原梨里
中学2年の葵は前髪の強い癖に悩んで、友達と同じようになろうと必死に努力している。母親は葵を可愛く思うあまりその悩みの深刻さに気付かない。母娘が通う美容院の美容師、高橋さんによって、母は葵の一人の女性としての悩みや成⾧に気づき、葵はコンプレックスを克服して自分らしく生き始める。
『幸ウンの白い鳩』
白妙スイ
普通の会社員の『俺』はある日、駅の階段で鳩にフンを落とされてしまう。ショックを受けた俺を救ってくれたのはある女性。『彼女』は美容師で、近くの仕事場で髪を洗ってくれた。それをきっかけに俺と彼女は恋人になり、俺は縁を結んでくれた鳩の髪飾りを交際一ヵ月記念に彼女へ贈るのだった。
『真理子美容室』
ウダ・タマキ
母の十三回忌で故郷に帰った私。これが最後の帰省と決めていた。東京に帰る日、一時間に一本の電車に乗り遅れてしまう。時間潰しのため、駅前に昔からある『真理子美容室』に入ってみた。ここは、幼い頃に母がカットをする時に一緒に来ていた美容室。そこで思いがけずカットをすることとなった私……
『初めての美容室』
朝森乙晴
中学1年生の美穂は、小さい頃から髪を伸ばしていたが、中学校に入学し、クラブ活動を始め、髪を短く切ることを決意する。今までは母親に髪を切ってもらっていた美穂だったが、先輩の紹介で、初めて行く美容室で、尚子さんという美容師さんに髪を短く切ってもらうことになる。
『明日への一歩を踏み出す魔法』
文月めぐ
美容師の杏菜のもとにやってきたのは、常連客の舞。舞は学校でくせ毛をからかわれた、と泣き出してしまう。ずっと髪を伸ばし続けていた舞の幸せを願いながら、杏菜は舞の髪をショートカットにしていく。杏菜に「自信を持って」と励まされた舞は、月曜日、緊張しながらも教室のドアを開ける。