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『明日は何色』史香

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 会社が潰れた。元々⼤きな会社ではなかったけれど、⾼校を卒業してから今⽇まで 8 年間、理不尽なお叱りも、無理な残業や休⽇出勤も⽂句を⾔わずに耐えてきた。
 世に⾔ういわゆるブラック企業だと⾔う事は⾃分でもわかっていた。
 同期や後輩は次々と辞めていき、今⽇まで何⼈を⾒送ってきたかなんて覚えていない。それでも仕事を辞めたいと思った事は⼀度もなかった。
 辞めたところで他に⾏くところなんてない。⾼卒でこれといって⼈より優れているところがあるわけでもない私を雇ってくれた唯⼀の場所が今⽇までの職場だから。
 どんなに嫌なことがあったって、⾟いことがあったって、必死にしがみついてきた。
 それでもびっくりするほどあっさりと、抵抗をすることもできず⼀瞬で私は無職になった。

 これからどうしよう。
 なんだかまだ夢を⾒ているようで、⼼のどこかで、本当は会社は倒産してなくて、これは仕事に⾏きたくない私が⽣み出した妄想の世界で、⽬が覚めればいつもと変わらない⽇常が待っていて、会社に⾏けば⼭のように仕事が残っていて、家にまともに帰れないような⽣活が今後もずっと続くような気もしてくる。
「はぁ」
 もうだめだ。今⽇は疲れた。何も考えられない。考えたくない。
 ⼤きく⼀つため息を吐き、まずは眠ることにした。今後のことは明⽇ゆっくり考えよう。
 叶うのならば全てが夢でありますように。
 そんなことを思いながら私は意識を⼿放した。

 外を⼤きなトラックが通る⾳でぼんやりと⽬を覚ます。
 はっきりしない意識のまま時計を確認するとお昼の 12 時を指していて、驚き⾶び起きるが、昨⽇会社から持ち帰った荷物が視界に⼊り、全てを思い出した。
 そうだった。私は今⽇から無職なんだ。

 
 布団から起き上がり、⼤きく伸びをする。
 こんなにぐっすり寝たのはいつぶりだろうか。
 なんだかいつもより体調が良い気がする。沢⼭寝たからか。
 さて今⽇は何をしようかと考えながら洗⾯所へ向かうと⽞関に郵便受けから出し放置したままだった郵便物の⼭を発⾒し中⾝を確認する。
 重要そうなものは⼀応確認しているので、どれも近所の広告ばかりだが、その中の 1 枚がひらっと落ちてしまい拾うと近所に新しくできたらしい美容室のチラシだった。
「美容室か・・・」
 そういえばもうどれほど美容室なんて⾏っていないだろうか。

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