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『明日は何色』史香

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 ⾷事や睡眠の時間もまともに取れないのに美容室に⾏く暇なんてあるわけがなかった。
 ⼤したケアもできず⽑先は随分痛んでいる。
 久しぶりに整えてもらいに⾏ってみようか。
 着替え、財布と携帯、チラシを持って家を出る。

 ⾼校を卒業してすぐに就職をし、1 年間お⾦を貯めて実家を出た。
 朝家を出て最短距離で駅まで向かい、帰りはほぼ終電で帰る毎⽇を約七年間。ゆっくりと⾃分の住んでいる街を⾒ることもなかった。
 全てを失って初めて気づく。今までの⾃分が普通ではなかったと⾔うことに。チラシの⼊っていた美容室は思っていたよりも家から近かった。
 こぢんまりとした可愛いお店の前につき、衝動で来てしまったがそもそも美容室って普通は予約が必要なのでは?と急に 冷静になる。
 まぁ、今⽇すぐがだめなら予約だけして、どこかでご飯でも⾷べて帰ろう。時間はたっぷりあるのだから。
 私は⼀度深呼吸をしてから静かにお店のドアを開けた。

 カランカラン
 ドアについた鈴が鳴り、受付に座って作業をしていたお姉さんがこちらを⾒て微笑んだ。
「いらっしゃいませ、当店は初めてですか?」
「あ、はい。予約とかしてないんですけど⼤丈夫ですか?」
「はい、⼤丈夫ですよ!ご案内します。」お姉さんに案内され鏡の前の椅⼦に座る。
「カルテをお作りしますので、こちらにご記⼊をお願いしてもよろしいですか?」お姉さんから紙とペンを受け取り、名前、住所と簡単なアンケートに答える。
 店内は外観どおり、あまり広くはないけれど、なんだかとても暖かい雰囲気に包まれていた。

 

「⾼梨様、お待たせ致しました。本⽇担当させて頂きます、⻘⼭と申します。」
「あ、よろしくお願いします。」
 受付をしてくれたお姉さんがそのまま担当してくれるらしい。
 店内にはお姉さん以外誰もいないので、そうなんだろうなぁ、とは思っていたが。

「本⽇はどうされますか?_」
 お姉さんが私の髪を優しく梳かしながら聞いてくる。
「正直思いつきで来てしまったので、特に決めてなかったんですが、⻑いこと美容室にこれていなかったので、適当に整えてもらえますか?」
 私の雑な要望にもお姉さんは優しく微笑み了承してくれた。
「かしこまりました。それでは⻑さは⼤きく変えずに、少し量を減らして⽑先を整えていきましょう。先にシャンプーをさせて頂きますので、こちらにお願いします。」
 お姉さんに案内されシャンプー台の前の椅⼦に座る。
 この椅⼦に座るといつも意味もなくなんだかソワソワしてしまう。

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