翌日の飲み会は地獄のようだった。けたたましいコール、声に乗せられて一気飲みする男。たばこの煙が充満して目に染みる。新しく入った女子にかっこつけようと躍起になっているサークルのメンバーが浴びるように酒を飲み、ことごとく酔っぱらった。
「お前ら飲み過ぎ! うるさい! 他のお客さんもいるんだぞ、もっと考えろよ!」
焦った坂本が声を荒げるが、時すでに遅し。酔っぱらった大学生はもう誰にも止められない。
「ごめんね、普段はもうちょっと落ち着いてるんだけど。怖かったら無理せず帰っていいんだよ」
「い、いえ…」
園田さんは明らかにこわがっていて、少し震えているように見えた。俺も帰りたい。
「よっしー、吉尭ちゃあん! るりなちゃん、すげー飲める子だわ。しかもかわいいし。よっしーも飲めよお」
「これで最後だからな」
頼んだハイボールをぐっと飲み干す。喉がかあっと熱くなった。
「お、いいねえ。もっと飲めよお」
「さっき最後って言ったろ。話聞いてたか」
酔っぱらいに話は通じないから、適当にあしらう。園田さんはおびえた目で俺と酔っぱらいのやり取りを見つめていた。
午後八時から始まった飲み会は、午前一時をまわってやっと終わった。女子たちにはそれぞれに一人ずつ男がついて、タクシーに乗せて家まで送り届けるなり、どこかに行くなりした。園田さんは一人暮らしらしく、坂本が送り届けることになった。俺は酔っぱらい共の介抱をしたから、結局家に帰れたのは三時近くだった。
翌日もサークルがあったが、俺は昨日の惨状を思い出したくないのと締め切りが近いレポート課題があったのとで参加しなかった。坂本もサークルに来なかったらしい。さすがに坂本も疲れたんだろう。
『昨日の飲み会やばかったな。お疲れ』
坂本にメッセージを送ると、すぐに返信が来た。
『まじで大変だったな。疲れた。今日園田さんちゃんと来てる?』
『俺もサークル休んだから分かんないけど、松田に聞いたら来てるって』
なんと園田さんはサークルに来たらしい。不思議だったが、あの女子二人に脅されでもしたんじゃないかとも思った。