そして、ピンク色に染まった大きな桜の木を目にすると、みんなで歌いだしました。
「さくら、さくら」
それは、キリギリスの歌でした。さくら さくら
野山も里も
みわたすかぎりかすみか雲か 朝日ににおう
さくら さくら はなざかり
子アリ達の歌声は、春風にのって、野原一面をやさしく包みました。
いつしかその歌声は、人里にまで流れ着き、キリギリスの歌は、人間たちにも歌われるようになりましたとさ。
さくら さくらやよいの空は
みわたすかぎりかすみかくもか匂いぞ出ずる
いざや いざや 見にゆかん