「どうするの?割ってみる?」
おもむろに手渡され、俺は力いっぱい床に叩きつけ割った。
「ん?なんともないよ?」奴は舌を出し喜んでいる。
「なんだよダメか。じゃあこの中の黒い部分を溶せば」
「半田ゴテは?昔やってたじゃん」
「無理だって、半田じゃガラスは溶けない」
「いいから探してきて」
「くそっ。あんのか」俺は割れたガラス細工を握りしめ自分の部屋へ走った。狭い家だすぐ辿り着く。後から奴が追ってきた。
「あった」机を探りハンダを見つけ、電源を入れた。
割れたガラスが突き刺さり手は血らだけだ。
「こんなんでほんと溶けるんのかよ」
「んー無理だね。あったまるまで待ってようか?」
「なんで俺達の家に」
「たまたまだよ。意味なんかない」
「オトリ投げて」
サクラの甲高い声が聞こえた。
「早く」
俺はサクラに向かってガラス細工を投げた。
サクラはキャッチせず、落ちたところで持っていたガスバーナーの炎を当てた。
「熱いよ。サクラ。僕まで殺すのか?」
「ごめんなさい。でも」
「オトリ、サクラ、違うんだ。僕は」
そう言いながら奴は溶けるようにいなくなった。
「やった」
「最後何か言いかけてなかった?それに」
「それに?」
「微笑んでた」
「あいつが?てかお前、そんなもんどこで?」
「いつかこれであんた燃やしてやろうって自分の部屋に隠してたの」
「はぁ?お前ふざけんな」
「あ」2人同時に腹が鳴った。