「それで化けて出てきたのか」
「オトリ僕ね、この森に埋められたんだ。マモルと二人で。そんで今度は仲良くこの森で心中か?」
「お父さんあの時から変わった。私があんなことしたせいで。オトリと死のうと思ってるって言われ続けてて」
そうだ。リトが居なくなった後、父親もなんだか腑抜けになり、俺が何言っても通じてんだか分からなくなった。わざとか?俺にどうして欲しかったんだよ。
そんな父親に、妙に冷めた俺はこれでも大人しくなった方だ。
その頃からあの誘いを受けるようになった。
「勝手にすればって思ってたけど」
「けど?」
カレヤは面白がるように聞いている。
「この2年、夢を見ると出てくるのカレヤが」
「だよね。家を出て、見た目だけ変えて生まれ変わったつもりでも、意味ないよ。サクラ」
「そう。だから私も。だったらカレヤがいる森に行こうって」
「それで俺を巻き込んだのか」
「巻き込み?アホかお前」
カレヤがこっちを見た。
「俺は」
「何?意気地なしで自分勝手の王様か?」
「リト、ずっとそう思ってたのか」
そう俺は王様だった。外に一歩出れば他人が怖く、そんな自分が大嫌いだった。でもこんな俺でも分かる事がある。
「お前、本当にリトか?」
「はぁ?」
俺は思いっきり眼帯を引っ張っぱった。
「ほら、なんともないじゃないか」
ハッタリなんかじゃない。カレヤの目は何一つ傷なんてない。
「俺は直感がいいんだ。お前がリトなら俺が真っ先に気付くよ。気付いてあげないと。お前からリトを微塵も感じない」
「なんだよサクラ、その目は。お前がした事に変わりはないんだからな」
奴は叫び、奥の方へと逃げていった。