小説

『最後の料理』NOBUOTTO(『銀河鉄道の夜、注文の多い料理店』)

「ラポさん、僕ここに残ります。何ができるかわからないけど、ジェシーさんやこの星の人達を幸せにしたい。ただ、僕は何も本当に何も知らない」
「ジョバンニ君が決めたのであれば吾輩は止めやしない。じゃあ、部屋の用意はなしにして、その代わり」
 ラポがジョバンニに青い帽子を被せた。
「君へプレゼントである。君サイズのいい帽子があったんでね。まあ、ずるなんだが、色々な知識がこの帽子からちょっとずつ頭に入っていく。あの星の科学くらいなら2,3年も被っていれば全部頭に入るだろう」
 ジョバンニは船から降りた。そして、また料理店に向かって歩いていった。空の上からラポの声が聞こえてきた。
「ジョバンニ君言い忘れていた。吾輩と話したけば、この帽子に願いたまえ」
 空に向かってジョバンニは言った。
「ラポさん、ありがとうございます。ひょっとしてラポさんは銀河鉄道の時から僕を見ていてくれて、それで僕を助けてくれようとしたんですか」
 しばらくしてからラポの声が聞こえた。
「正しくあれ、正しくあれ」

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