小説

『はじめのモモ』みしまる湟耳(『桃太郎』)

さわぎはきえて
みななくなって

ゆらゆらふるう波のまに

のこっているものが
あれ? ひとつ

かもめに食べられなきゃいいね
イルカに飲み込まれなきゃいいね

青い波間に
ゆらゆら ぷかぷか
モモイロの
タネが浮いていた

のこっていたね

のこった
のこった

ゆらゆら ゆれる モモの種
いつか どこかで また咲くのかな

 
おしまい

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