小説

『はじめのモモ』みしまる湟耳(『桃太郎』)

行商人たちはモモにもっとと

もっともっと
汗を流せと
たくさんたくさん欲しがった

もっと欲しがるものたちが
また たくさん たくさん
あつまった
あつまった

噂は遠く城まで届き
お殿さままでやってきた

病弱な姫のために
アメの不思議を欲しがった

姫を治せないにせものの飴売りは
みな打ち首にすると言い
にせもの市はたちまち逃げた

飴の不思議で元気になった
姫を喜んだお殿さまは
おじいとおばあの大事なモモを
ムコに欲しいと言い出した

おじいとおばあは
はてさてこまった
モモにはどうしても
ムコにはなれない
ワケがある。。。

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