小説

『はじめのモモ』みしまる湟耳(『桃太郎』)

黒い海流がウズマいた
モモは落雷で目がくらんだ

黒砂糖のようなコオニたちはかたまって
大きな島のカタチを海に流れるモモに見せた 

こっちに、おいで
こっちに、おいで

黒い海流がモモをはこんだ

大波小波

キリュウ荒れる真っ暗な海なのに
モモは潮水すら飲みこむこともなく
黒砂糖の濁流に支えられて
クロい三角菓子のようなオニガシマへと
打ち上げられた

桃の良い香りがシマに満ちた

モモを運んだ黒い川も
モモが立つこの岩礁のように見えるシマも
溶岩が冷えた大地ではなく

チイサナ クロイ コオニたちのアツマリだ
たくさんたくさん あつまって
とうとうモモをひとりじめ

サア、タベテシマオウカ

ナクナッテシマウゾ

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