小説

『拝啓赤ずきんさん』熊田健大朗(『赤ずきんちゃん』)

 孫の身長が書かれた柱を手でなぞりながら時の早さを痛感しました。私が思ってるよりきっと孫はしっかりしているのだと思います。きちんとありがとうを言える人になっているのだと思います。手紙にはあんな風に書いてしまったけれども。同意を求めるよう仏壇の前に座ると幸せな気持ちになりました。
「もうすぐ会えますね」
 私の長く温かな文章にそろそろ句点が打たれるようです。

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