10月期優秀作品発表
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SOLARE AWARD10月期にご応募いただいた作品の中から選ばれた優秀作品14作品です。
『青く、うつくしい、空のしたで』
銀月犀一
明治41年、783名の日本人移民が、ブラジル・サンパウロ州のコーヒー園へとたどり着いた。「出稼ぎ」へ行った日本人移民の曾祖父をもつ直哉は、勤務するシティホテルの経営で一人思い悩んでいた。そこへやって来たブラジル人就労者のケン君達。彼等との出会いが、直哉を新たな一歩へと後押しする。
『真夏のお客様』
藤井あやめ
とある真夏の喫茶店。サンタクロースに会いたいと涙ぐむ男の子に、偶然居合わせた人々がその願いをかなえる為、一体何をするのだろうか。
『その夜のこと』
たてがきるか
潮倉は、成人式で五年ぶりに中学の同級生の赤瀬に再会した。生徒会としても友達としても深い関係にあった二人だが、しばらく疎遠になっていた。二十歳になり、あらためて人生に不安を感じている潮倉は、久々に赤瀬と逢って話をしたくなる。二人は二度目の再会を果たし、夜の中学校に忍び込む。
『グラスの中の時間』
村田謙一郎
ホテルの宴会場で開かれている志垣ゼミの卒業謝恩会兼、教授の退官祝いパーティ。かつて志垣ゼミに所属し、ホテルウーマンとして十年勤務する私は、複雑な思いで彼を見ていた。自分の卒業時の謝恩会での行動を悔いながら……。しかしワインを手に近づいた私に、教授は意外な言葉を投げかける。
『眠らない街、立ち止まること、奇跡なんじゃないかと』
赤西柊
東京に暮らす大学生・上ノ原実(うえのはらみのる)は二十歳の誕生日を迎えると、大人になるということを意識し始めるようになる。一方、雨が降る夜の東京の街で上ノ原と偶然出会った一人の少女は、上ノ原が残した言葉の意味を探し続けていた。お互いに答えが見つからないまま、約一年後に再会する。