八月のとある海水浴場。海の家で働く「私」は謎の老人と出会う。アルバイト仲間の女子大生ユリと一緒に話を聞き、その老人こそは昔話の「浦島太郎」本人に違いないと確信する。すると、そこに「亀」が現れて……。
地獄に落ちた神田太一の元へ蜘蛛の糸が垂らされる。それは極楽で蜘蛛になった母の仕業だった。他の罪人達と共に極楽を目指す神田だったが、到着直前で極悪非道のお釈迦様に糸を切られてしまう。再び垂らされた蜘蛛の糸で極楽に辿り着いた神田はお釈迦様を道連れに地獄へ身を投げるのだった。
十一年前の夏休み、双子の姉、千草が死んだ。時は流れ、妹の花は高校三年生になった。進路に悩む花が向かった先は、二人だけの秘密基地。そこで呪縛霊となった千草は待っていた。二人は十一年前と同じように、会話をして冒険をした。こんな日常が永遠と続くと思っていた。千草の提案を聞くまでは。
借金を抱えいよいよ首が回らなくなった博人は、高齢者宅を訪問して貴金属を買い取る仕事を始めた。しかし、仕事に対する罪悪感、借金返済への焦燥感にジレンマを感じている。一方、友人の和樹は自身の性に対する違和感を抱えて生きることをやめ、『カズミ』となり念願だったバーをオープンさせた。
夜の京都は五条大橋に、屈強な大男が仁王立ちしている。そこに通りがかったのは営業職のサラリーマン。日々の仕事に疲れ、癒しを求める営業職の男に、大男はある勝負をしかける。大男が放つあまりの威圧感に否応なく勝負することになるが──牛若丸と武蔵坊弁慶の出会いを基にした二次創作
夏目漱石の草枕と静岡県佐久間町に伝わる、竜王権現の滝、機織の滝、二本杉の民話を組合せた物語。借金を抱えたトオルが田舎町にやってくる。そこで出戻りのナミエと出会い、二人の距離は縮まるが、借金取りが来てトオルは姿を消す。しかし竜神が現れ、埋蔵金を得たトオルは再びナミエの元へ向かう。
京都で暮らす小学生の奏は、この世界と自分の波長が合わないと気づいていた。ある日、愚鈍なクラスメイトのカメをイジメッ子から助けると、鴨川の水底にある竜宮城へと誘われる。それは奏の隠れた欲望を満たしてくれる夢の世界に思えたが、奏は三日で飽きてしまう。
鼻の下のホクロを鼻くそ呼ばわりされて卑屈になる俺。一方ホクロだらけの顔面を自虐ネタにする人気者の石島。彼に憧れた俺は真似をしてみたものの大失敗し、引きこもりに。そんな時、石島がお笑いのネタを作ってくれと言いに来る。自分を必要としてくれる人がいると知った俺は活路を見出せた。
主人公、美浜海斗には天野羽衣という好きな女の子がいた。海斗は羽衣が落として探していたストラップを偶然拾う。そのことを言い出せないままずるずると引きずり、ある事件をきっかけに返す決心をする。