ゴールデンウィークが明けの月曜日の夕方。
美浜海斗は友達と別れ、住宅街を歩きながら家に帰っていた。
その途中、通りがかった公園で地べたに膝をついて何かを探している女の子を見かけた。
「あれは……」
背中まで伸びた長い黒髪、薄い水色のシャツに桜色のスカート。
間違うことは無い。海斗と同じ五年二組のクラスメイト、天野羽衣だ。
「羽衣ちゃんどうしたの?」
「あ、海斗くん……」
名前を呼ばれた彼女は、立ち上がってパンパンと手と膝についた土を払う。
少し様子が変だと思った海斗は、羽衣に駆け寄ると、
「かくれんぼしている途中でお母さんに買ってもらった白猫のストラップを落としちゃったの」
言いながら羽衣の表情はどんどんと曇っていく。
大好きな子のそんな顔は見たくないと、海斗は思った。
「僕で良かったら手伝うよ!」
「ほんとうにっ⁉」
海斗の言葉に羽衣の顔は晴れやかになっていく。
海斗としても、好きな子と二人きりになれる良い機会でもあったのだ。