公園の地べたに膝をついて、何かを探している女の子がいた。
つい先日も見た光景だった。
背中まで伸びた長い黒髪。
水色のシャツに、桜色のスカート。
「羽衣ちゃん……?」
海斗の呟きに、女の子……羽衣はすぐに気が付いた。
膝についた土を払って、海斗の元へと寄り、
「友達とかくれんぼしていたら、また落としちゃって……」
「そ、そうなんだね」
困り顔で言った羽衣に、相槌を打ちながらも海斗は確信を持っていた。
何日も諦めずに探していたストラップを、こんなにもすぐに落とすのは不自然すぎる。落としたのは嘘で、本当は僕が持っているストラップを探しているのだと。
しかし同時に、ストラップを返すチャンスだと思った。
わざわざ嫌われる可能性がある本当のことを言う必要はない。見つかりにくい場所にあったと言って渡せばそれで済む話だ。
「僕でよかったら手伝うよ」
「ほんとうっ⁉ ありがとうっ‼」
羽衣の困り顔は一転して笑顔になった。