
高校生の櫛名は二年になってから美術部に入った。そこで会った一年の藤村は少し変わっていて、何かと櫛名に絡んで来る。ある時藤村は櫛名に自分を描けと言い、一枚のスケッチを持ち帰る。その後転校した藤村と櫛名は大人になってから再会する。
もしドアを開けてしまえばそこにはオオカミがいて皆食べられてしまう。子供達はママにいつもそう言われて、それを信じて絶対にチャイムが鳴っても出ないようにしていた。しかしある日、チャイムが中々鳴りやまずたくさんの人の声もする。兄弟で震えていれば、ガチャ、と鍵が開いてしまったのだ。
美しい少女が多数の求婚者に迫られ、悲劇的な結末を迎える「寅子伝説」を追体験するように、令和を生きる私に、寅子だった頃の記憶がよみがえる。恐怖を抱きながらも、なすすべなく、破滅の時は近づいていた。
ひょんなことから、クラスメートの里中さんの台本執筆に協力することになった僕。題材につかう昔話を選んでいる最中に里中さんの呟いた言葉が、僕は妙に気になって……。
短い夢を見た。散る花の夢だった……交通事故によって幽霊となった僕は、同じく幽霊のお爺さんと出会った。お爺さんが言うには、幽霊は願いを叶えると消えてしまうそうだ。僕の、願いは?
おばあさんはついに鶴との約束を破ってしまう。鶴が飛び去り、二人暮らしが始まったものの、おばあさんは自分が別れの原因を生んだことに罪悪感を抱き続けていた。別れの時、別れの後におばあさんはどう感じ、考えたのか。どんな行動をしたのか。鶴が去った後、二人が幸せに暮らすまでのお話。
映画監督を目指す金村は、ドキュメンタリー映画で著名な遠野の下でアシスタントとして修業中だった。そこに新人賞を受賞したという新入りが事務所に入ってきた。それ以降、居場所と未来の希望を失いそうな金村はやり場のない空しさを抱く。そんなある日、金村は見てはいけないものを見てしまった。
おばあちゃんに先立たれたおじいちゃんは失意のどん底にいて、一向に元気になる気配がない。お母さんが気遣って、お見合いをさせてみようとしても、断ってくるが……。
夏休みを過ごす葵の元に、祖母が危篤という知らせが届く。祖母は若い頃恋人を失い、セメント袋を縫う女工として働きながら女一つで子を育て上げるという人生を歩んだ女性だった。ある日祖母の部屋を整理していた葵は、小さな石の欠片と松戸与三と名乗る男からの手紙を見つける。