『ネイキッド! ネイキッド!』
十六夜博士
(『裸の王様』)
売れない作家生活を長く続けた僕は、ついに死ぬことにした。未練なんて全くない。むしろ清々している……、はず……。だけど、今まさに崖から飛び込もうとする刹那、ある男が話しかけてきた。そして、その男は奇妙な提案をした……。
『河童の女房』
緋川小夏
(『河童』)
紗和子は田舎の古民家で、夫の淳悟と二人で暮らしている。それなりに幸せな日を送っていたある日、淳悟が失踪した。近隣を探したけれども見つからない。ある雨の夜、ひとり淳悟の帰りを待つ紗和子の元を河童が訪ねて来た。それは河童に姿を変えた、夫の淳悟だった。
『みにくいこわれたじゅんぜんたるあくいの子』
柘榴木昴
(『みにくいアヒルの子』)
叔父に殺されかけた私は助けてくれた殺人鬼、ソロモンのルーツを追った。そして私も悪意と殺意によって立つ、人間性を根本から否定するルールに支配されていく。
『鏡よ鏡』
平大典
(『白雪姫』)
大学生の加賀見は、ある日学内で人気のある白雪さんという女性のスマートフォンを拾う。友人である猪狩は、加賀見が席を外しているうちに、白雪さんのスマートフォンに魔法をかける……。
『青い空の下で君と』
霜月りつ
(『千夜一夜物語』)
昔、昔、漁師が浜を歩いていて、壷を見つけました。壷には栓がしてあったので、漁師はその栓を抜いてみました。すると、中から煙と一緒に魔人が現れ、漁師に向かっていいました。
『青い女たち』
紗々井十代
(『ジャックと豆の木』)
「紙を四十三回折ると月まで届くんだって」ジャック(というあだ名の女子高生)が想いを寄せる男子から、告白の返事として受け取った手紙は、気が付くと天をつんざく塔に変わっていた。四人の女子高生は宇宙を目指して、ジャックの「失恋通知」を登り始める。
『魔女は真実を語らない』
佐野すみれ
(『いばら姫』)
物語は嘘だらけだ。嘘のお話を書き綴った人工物は、そもそも無いものを有るように見せているのだから、嘘(フィクション)で構築されているのは当然なんだけど、嘘に埋もれた物語はいつだって真実を隠してしまう。